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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二九幕 「刹那を見切れ!」
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」
「………………」
心臓の音だけが大きく、それ以外は耳が痛いほど静かに。
「………」
「………」
僅か1秒にも満たない時間が果てしなく引き伸ばされ、世界の全てがスローモーションになるその刹那に。
「―――!!」
「―――!!」
青年、浅間結章は極めて無造作に背中から猟銃を取り出して構えた。
「流石に素手は危ないから銃が安定だよね!」
「ブギャアアアアアアアアッ!?!?!?」
自分の想像していた勝負と全然違う光景に、何とはなしに「裏切りものぉぉぉぉぉッ!?」と叫んでいるかのような悲壮感のある悲鳴だ。しかし、ユウの手は何のためらいもなくトリガーを引き、パァン!という乾いた銃声と共に弾丸は吸い込まれるように黒い暴走特急ことイノシシの頭頂部に直撃した。言うまでもなく、即死である。
「よっし、ISから降りて結構経つけど腕は衰えてないね!」
「ユウ〜〜〜!銃声聞こえたけぇ来たんやけど……はれ!?もぉイノシシ仕留めとったん!?」
「や、なんか目が合ったから逃げるのも危ないかと思って。さ、急いで血抜きをしちゃおうか!このままだと重い上に後で食べるときに美味しくないからね!」
「はぁ〜〜……トカイの人やと思ってナメとったけど、猟師生活に順応しすぎやろ!!なしてそげん銃やナイフの扱いが堂に入っとるん!?」
既にナイフでイノシシの血抜き――をするまえに供養の合掌をするユウの姿に、駆け付けた少女は尊敬半分、呆れ半分の視線を送った。現在ユウは彼女の家に泊まらせてもらいつつも様々な手伝いをしているのだが、田舎から来たなよなよしそうな青年がまさか狩猟免許まで持っている事に「何者なんだ」という漠然とした疑問が隠せない。
(なんや修業中やとか言うて親父の道場に来て、生意気やからって「イノシシ仕留めて来たら認めたる!!」なんて無理難題押し付けられたから可哀想になって見に来たけど………ほんま何なん、こいつ?)
夏休みが始まって約1週間……ユウは何がどうしてこうなったのか、とある田舎の山陰で完全にマタギになっていた。
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