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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二九幕 「刹那を見切れ!」
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 イタリアの名所と言えばプーリア州の『アルベロベッロ』が有名だ。トゥルッロという白い伝統家屋が立ち並ぶ様はどこか幻想的で、ユネスコの世界遺産にも登録されている。しかし別に観光しに来たわけではないのでそっちは後回しにして、来たのは別の場所だ。

「潮風が気持ちいいわね〜」
「………それ、日本のパンのCM……」
「いやいや、本当だってば。港の方から吹き上がってくる海の匂いって、なんかいいよね」
「………住んでるぶんには、何も。でも、すこし懐かしくはなる」

 純白の帽子を深くかぶって日差し対策ばっちりのベルくんは、すん、と鼻を鳴らして、黙ってしまった。ベルくんが黙っているのは別に珍しくもないが、故郷に戻って来た嬉しさはないでもないらしい。そんな事を分析しながら、私は横で「んん〜」と伸びをしながら若干時差ボケしている頭に酸素を送り込んだ。


 どうもみなさん、今日は旅番組風の佐藤です(心持ちさわやか)。

 それはさておき、私達はイタリア共和国プーリア州のヴァーリという都市――その更に中にある「ポリニャーノ・ア・マーレ」という町にやってきている。この都市の端っこの方にベル君の伯父さんの家があるらしく、私達はそこを目指して、空港からイタリア政府のチャーターしたヘリに乗ってやってきたのだ。

 空港からいきなりヘリという超展開には流石に二人して絶句したけど、バスや鉄道では安全性の確保があれなんだそうだ。だからってヘリってVIPでもあるまいし。

「シニョリーナ・サトー、貴方は立派なジャパンの――ひいてはIS学園のVIPです。無論シニョーレ・デッケンは言わずもがな、我が国の最重要人物の一人。というかお二人とも有名人なので下手に町を歩こうものなら野次馬のアリジゴクに突き落とされかねません」
「マジですか……え、そんなに?」
「既にサトー氏の来訪を受けて複数の雑誌から貴方のグラビア撮影権をかけた交渉を持ちかけられています」
「ふぐっ!?そ、そう言えばそんな話もあったっけ……!(※第八五幕参照)」

 実は今回、面白半分で「月刊Girls And Military」から送られてきたちょっときわどい水着兼衣装を持ってきてしまっている。どっかの光合成できて英語を喋らないスナイパー的な衣装だ。若干ながら乙女の興味が湧いてちょっと着てみようかと思ってたけど、万が一他の人に撮影されて世界にばら撒かれたらフェザーガール(笑)以上の大打撃で撃沈するは自明の理。
 そんな私の葛藤をよそに、イタリアの偉い人は話を続けた。

「デッケン氏は………容姿が半分、経歴を穿り返そうとする輩が半分……どちらにせよこれでは帰国どころではないので政府の情報操作で細工をかけています」
「ベル君の経歴………?」
「……失言でした。詳しい事はデッケン氏のご
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