88話 夢
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娘を守ることも出来ないのか……モノトリアよ』
アーノルド。二人の後ろには大きな男の影が見えた。彼は何者なの?人外じみた威圧感が、私にも襲い来る。しかしこちらに気づいた彼は……「優しく笑う」。その笑顔を見て……はっきりと「魔」の者だと気づくのは、ただの直感なのだろうか?
夢から醒める寸前に、怒りに満ちた声が聞こえた。それは、私に向いたものじゃなかった。夢の中のライティアに向けられた言葉だった。彼女は涙を流して謝って、それから、それから、欲にかられた自分を許さないでと言って……。
『歪んだ世界を見た私の、歪んだ優しい世界はどうですか?』
ライティアの声が聞こえる。
『これが正しい世界なのに、あなたは守られるべき人なのに、どうして世界は間違っていくのでしょうか。みんな幸せで、あなたを守ればモノトリアはもう要らないのに、他ならぬあなたがモノトリアを守ってしまうから』
『すべてあなたが原因ですよ。でも、あなたがいなければ……』
『何も知らない愚か者は、優しい世界に行こうと思います。そこにはルゼル様もいらっしゃりますから』
『あなたは自分の正体を知ったらどうするのでしょうか?アーノルドという自分勝手な男に振り回されたのは哀れ極まりないですけれど。嗚呼、それを言うなら……私達人間の方が振り回されましたが』
『……あなたが幸せになりますように、眷族なりに、祈りますよ』
・・・・
・・・
・・
・
「トウカ、大丈夫か?」
唐突に浮上した意識。目の前には心配そうな顔をしたククールがいて、ライティアと同じように顔をのぞき込んでいた。あぁ、倒れたんだっけ。座らされている。体調は万全、痛みどころか元気いっぱい。ベストコンディションといえる。
元気をアピールするために立ち上がり、笑顔で頷く。でもククールは納得してくれなかった。ちょっと、理解しようもない濃い夢を見たからふらふらしてるの、バレたのかな。頭の中にとりあえず封印して後で考えよう……。
「魘されていたが、本当に大丈夫か?」
「あー……なんかおかしな夢でね。でも夢なんて気にしなくていいんだよ」
「それならいいんだが……。おっと、それどころじゃなかったな。姫の呪いは解けなかったみたいなんだ。それについて話し合うために一足先に隠者の小屋にみんなは行った。俺達も早く向かおうぜ」
……なんか今、夢より理解し難いことを聞いたんだけど。呪いが解けなかった……?どういうことなの?ということは姫は元の姿に?陛下は戻られなかった?なんてこと。
ククールの手を引っ掴んで、私は隠者の家に突っ走った。途中魔物が出てきたけど蹴散らしてしまえばいいよね!ということで蹴り砕いてみた!
・・・・
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