第一部
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よん
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球人類も我々の種族からしてみれば、そのような認識を持つ者の方が多かったりもする。
認めてしまえば、そう卑屈に考えることもないと、ある程度の割り切りはできているのだが、人の心というものは儘ならないものである。
さて、いまだにヘルメットの集音機能には、会話とおぼしき二種類の声が音の波となって表示されている。
そろそろ姿が認められる頃だろうと、ヘルメットによって補正された視覚を声の聞こえる場所へとズームしていく。
……いた。
私は足を止めて、木の上から見下ろす形でその様子を観察する。
大きさは、130センチほど。全体的に線も細く、見た目通り体重もなさそうだが、まるで餓鬼のように下っ腹だけがぽっこりと出ている。
醜い小さな生物、これが印象だ。1体は上半身裸で右手にはこん棒を持っており、下半身は布切れ一枚。
もう1体は上半身にサイズの合っていないボロボロの獣の皮をベストのようにして着ているが、それ以外は先の個体とそう変わらない。
ヘルメットの視覚機能を操作し、可視光線のレンジを変更すると、まるでCTやMRIのように2体の生き物の骨格から内部構造までを視覚化する。
体の造りはまあ、そう大きく大差はないが、浮かび上がったシルエットを見るに、魔女のような鉤鼻と上へ向けて尖った耳、やけに発達した犬歯と奥歯以外は鋭く尖った歯が認められる。
記憶を引っ張り出して、モンスターや亜人という枠組みからメジャーな言い方をすれば、小鬼、だろうか。
ギャッギャギャッギャと、ヘルメットが拾う音声から、かなり未熟な言語体型であると予測される。
それでもコミュニケーションを取るという行動を行っていることから、それなりのコミュニティは形成していると思われる。
であるならば、このまま見張って巣へ戻るのを待つのも手だ。
―
この2匹を尾行して既に30分ほど経過しており、その道中、うさぎと思われる小動物を二度狩ろうとして、二度とも尽く失敗している。
狩りに失敗したその瞬間の、2匹の物悲しい背中を眺めていると、苛立たしさよりも先に哀れみを抱いてしまう。
更に取っ組み合いの喧嘩を始めた際には、仲裁に飛び出しそうになったほどだ。
いまはもう落ち着きというよりも、半ば諦めている風ではあるが、双方ボコボコになった顔面のまま、力なく歩みを進めている。
なんだか俺まで悲しくなってきた……。
そこで適当に見付けたうさぎを1匹、クローキングのまま音もなく忍び寄り、腰のシュリケンで頭部を一突きして仕留める。
あとは2匹の小鬼が通る場所に投げ込んでおく。
すると、2匹の小鬼はうさぎが落ちたときの音に敏感に気付くと、歩むスピードを若干上げる。
警戒した風も
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