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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
デッドエンド・プロローグ
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るが。
『魔王様』と呼ばれた男は、頬を醜く釣り上げてこちらに近付いてくる。
逃げなければ。さもなくば、死ぬ。
折れ曲がった腕を無理矢理動かし、強烈な痛みに顔を歪めながらも、必死に地面を這いずる。
「……ゃ……だ……!」
「まあ、そう怯えてくれるな小娘」
ゴギャッ!
「ーーーーッ!!」
腕は踏み潰され、捻れ、分離し、弾き飛ぶ。
咄嗟に腕を抱え込み、悶え苦しむ。こんなもの、人間が耐えられる痛みではない。
悲鳴の一つも上がらない。もう声など枯れた。
潰れた喉が再び締め上げられ、『魔王様』と呼ばれた男は問うた。
「……ふむ。小娘、お前は、死にたくないのか?」
ほんの少し。
ほんの少しだけ、言葉の中に慈悲を感じた。
それが本物なのか、それとも現実を否定したくて、無理矢理作り上げた妄想なのか。
それは分からないけれど、兎も角、死にたくは無かった。
だから、声の出ぬ喉の代わりに、首を縦に振る。
死にたくないと。
見逃してくれと。
────ニィッ
男が、心底可笑しそうに笑う。
この一瞬で確信した。選択を誤った。この男は、『魔王』は──『最悪』だ。
「良いだろう、契約成立だ。お前を『死なぬ様にし、この場から見逃し』てやる。そうだな、対価は──『手段は選ばずに契約を遂行』する。という事にしよう。忘れてくれるなよ?悪魔の契約は絶対故な」
首を絞める手に力が篭る。バキバキと、首の骨が砕けていく。意識が遠去かり、世界が暗く染まっていく。
やはりこの男は、最初から私を見逃す気なんて無かった。私の反応を楽しむだけ楽しんで、最後には殺す。
知ってたよ。ああ、私は死ぬと確信していた。助かるなんて思ってなかったよ。
分かった、諦める。好きに殺せば良いさ。絞め殺すなり、刺し殺すなり、好きにすれば良い。
「『其の魂は我が僕、其の肉体は我が僕。嗚呼、暗闇に堕天せし人間よ』」
不意に、耳に届く声が在った。
その『音』は肉体を支配し、意識を支配し、『私』という存在を支配していく。
「『その生に呪い在れ。その命に災い在れ。何時かお前という存在が、我がささやかな記憶に眠れる時を』」
体内の『何か』が結び付く。繋がってはいけない何かが繋がり、全身を駆け巡る。
生命が再構築される。『私』という存在が此処で消え、『
誰か
(
私
)
』という存在が顕現する。
「案ずるな、悪魔の契約は絶対だ。……故に、契約者は身を滅ぼす。永遠に生き続けるが良いぞ、名も知らぬ娘。その生で、私を愉しませてみるが良い」
最期に、世界の全てが反転し──
「『
××
(
受け入れよ
)
、
××××
(
お前は死徒である
)
』」
其処で、少
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