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八神家の養父切嗣
四十一話:離別
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か」

 ザフィーラの疑問はもっともだとばかりに静かに頷くアインス。その様子はどこか久しぶりに会えた家族と話ができるのを喜んでいるようにも見えた。しかし、アリアは彼女の立ち位置が完全に敵側であることに気づき警戒の色を見せる。そんな様子を知ってか知らず、アインスは語り始める。

「厳密に言えば消えた私とここに居る私は違う存在だ。だが全ての記憶は引き継いでいる、勿論、主との暮らしもな」
「まさか……複製されたっていうの? でも、それだと闇の書としての機能も一緒についてきたってことじゃ」
「いや、複製は合っているが、写されたのは人格と記憶だけだ。それ以外はもう一人の私と共に逝った」

 ここまでの説明におかしなものはない。理論としては間違ってはいない。しかし、そうなってくると彼女には協力者、彼女を助け出した者が居るということだ。さらに言えば、肉体を復元させた人間も必ずいる。

「自力で複製したというわけではないな?」
「ああ、お前達が来る前に私はある男と契約を結び生き延びた」
「ある男? それってスカリエッティのことかしら?」

 ここで出てきたということは敵に違いない。そうなればバックにはスカリエッティが居る可能性が高い。そう考えたアリアが警戒したように尋ねるがアインスは静かに首を振って否定する。彼女を救ったのは最初から最後まで完全に敵対していた男、そう。

「切嗣だ。私は切嗣に救われ今こうして立っている」
「お父さん……が?」

 アインスの言葉に三人共が信じられないと言った表情をする。それもそうだろう。彼と彼女は敵対し、一方は永遠の眠りに落とそうとし、もう片方は殺しそうとしながら絶望に陥れたのだ。昨日の敵は今日の友という言葉があるがいくらなんでも変わり身が早すぎるだろう。そもそも何故切嗣が救おうとしたのかが分からない。そんな疑問を察知したのかアインスがどこか寂しそうに答える。

「誰でもいいから誰かを救いたかった……そんな理由らしいがな」
「何よ…それ……」

 あまりにも物悲しく、狂ったような理由に思わず言葉を失う。まるで神の教えにすがるような、贖罪を求めるような行為。衛宮切嗣という男が心の底から渇望していながら真逆の行動を取り続けることしかできなかった人生。誰かの為に全てを捨ててきた男が自分の為だけに生きたことで初めて誰かを救えたという皮肉。そしてその相手が彼の理想を打ち砕いた存在となれば運命の辛辣さに笑うしかない。

「そんな理由であなたは良かったの?」
「理由はともかく契約条件は良かったからな」
「契約条件だと?」
「私達ユニゾンデバイスのデータを取ることと引き換えに、私は身の安全の保障、自由、そして―――人としての幸せを得た」

 そう言って少し満足げに笑ってみせるアインス。その顔には嘘
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