第二十六話 アントワッペン始末
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っていて、しかも鍵が掛けられてあるのだ。
『怖い思いをしたほうが早く覚える』
と、いう持論を実践中で、アンリエッタは暗闇に怯えながら必死に『ライト』を唱えていた。
この部屋から出るには、『ライト』を唱えて部屋の何処かにある鍵を探すか、または『アンロック』を唱えて出るかの二つしかない。
期限もあり、夕暮れまでに出られなければ、その日の夜はマクシミリアンとは別々の部屋で一人で寝なければならない。
意外とマクシミリアンはスパルタだった。
時折、『おにーさま助けて』、とか『暗いよう』とか、声が聞こえて、マクシミリアンは助けるべきかと大いに迷ったが何とか思いとどまった。
……しばらく時間がたったが、夕暮れまではまだ時間がある。
マクシミリアンはドアの側に机を椅子を持ち出して政務を行い、時折、耳を澄まして、部屋の中を伺っていた。
「アンリエッタ、許してくれ。嗚呼、可哀想なアンリエッタ……アンリエッタェ……」
ぶつぶつと独り言をしながら政務を行う、まったく仕事が手につかない。
数十分後、ドアがガチャリと開いてポロポロ涙を流すアンリエッタが出てきた。
「おにーさま、『ライト』出来ましたぁ〜」
「お、お、おぉぉーーーーっ、良くやったなアンリエッタ! よぉ〜〜〜し、よしよしよしよしよしよしよしよしよしよし!」
「ぶえぇぇぇぇ〜〜〜ん! おにーさまーーー!!」
「立派だぞアンリエッタ!!」
泣きじゃくるアンリエッタを猫かわいがりするマクシミリアン。
「ぐすっ、今日はこれで終わり?」
「いや、今度は図書室で勉強だ」
「ふえぇ〜……」
「大丈夫だよ、今度は僕も一緒にいるから」
「本当に? 一人にしない?」
「本当だよ、今日は一緒にいよう」
アンリエッタを抱き寄せ頬にキスをした。
……
アンリエッタの手を引いて新宮殿にある大図書室へ向かうと先客が居た。
『マクシミリアン殿下、アンリエッタ姫殿下、ご機嫌麗しゅう』
見事にハモって二人に話しかけてきたのは、兄アントワーヌと弟アンリのジェミニ兄弟だ。
アントワッペンでの一件では、ヘルヴェティア傭兵の軍師だったが、雇い主だった男に嫌われてクビになり、屋敷前でウロウロしていた所をマクシミリアンに拾われた。
ゲルマニアに帰るか聞いてみたが、帰らずにマクシミリアンの家臣団へ仕官を願い出てきた。
もちろん、マクシミリアンは二つ返事で承諾し、参謀本部にまわす予定だ。
「何を読んでたんだ?」
『実は禁書室を利用させていただきました』
「ん、そうか、しっかり知識を吸収してトリステインのために役立ててくれ」
禁書室とは大図書室の奥にある階段で地下に降りた場所に
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