第二十五話 断罪の剣
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シーヌは可哀想だが……)
マクシミリアンは迷ったものの、答えを出すと『ブレイド』のルーンを唱えだした。
流れる様にルーンを唱え、杖を空へと向ける。
元になった魔法こそ、ただの『ブレイド』だが、マクシミリアンの無限の魔力だからこそ可能な、単純だが、マクシミリアンの使う中で最強の魔法。
『ギロチン』
マクシミリアンの杖から眩いほどの青白い光の柱が天へと昇っていった。
☆ ☆ ☆
アントワッペン市から逃走する、ド・フランドール伯のフネからも確認できた。
ド・フランドール伯が用意したフネは『ブリッグ』と呼ばれる2本マストのフネでド・フランドール伯は軍艦として使用していた。
そのブリッグ艦船員たちは、後方の天へと昇る光の柱を見て騒いでいる。
フランシーヌを別室に閉じ込めて尋問していると、ド・フランドール伯は報告を受けた。
「何事だ、騒がしい」
「とにかく見てください。凄い事になってるんです」
「……フランシーヌ、少し席をはずすが、お前への尋問はまだ終わらないからな」
椅子に縛られたフランシーヌに顔を近づけて……
「覚悟しておくがいい!」
と、脅した。
ド・フランドール伯は去るとドアに鍵を掛けられフランシーヌ一人が残された。
兄妹の仲はお世辞にも良くなかったが、兄の変貌にフランシーヌは悲しくなった。
(兄上は狂ってしまった。もう私の知っている兄上はいないのね」
子供の頃を思い出しながら、自分自身の心に整理を付け始めた。
(兄上は嫌いではないけれど、このまま道連れにされたらたまった物じゃないわ)
脱出を心に決めたフランシーヌ、しかし、杖を奪われロープで椅子に縛られた状態では、脱出もままならない。
フランシーヌは部屋の中を見渡すとロープが切れそうな尖った調度品を発見した。
……
ド・フランドール伯が甲板に出ると、その光の柱を見て絶句した。
いや、絶句というよりもむしろ、恐怖を覚えた。
「逃がさない……逃がさないというのか! この僕を!!」
光の柱へ向かって吼えたド・フランドール伯。
その光の柱がゆっくりとド・フランドール伯のフネへと倒れ始めた。
「倒れるぞ……俺たちのフネに倒れてくる!」
甲板上は、船員達が喚き散らしながら右往左往している。
光の柱が厚い雲にまで届いていたのか、倒れる際に雲に亀裂を作るとその隙間から双月の光が漏れて地上を照らした。
余りにも幻想的な光景は、深夜にも関わらずに起きていた、アントワッペン市民にも目撃された。
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