第二十五話 断罪の剣
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ランドール伯を生きたまま確保したかった。
増援の密偵からもたらされた情報によると、アントワッペン市の反乱とマクシミリアン捕虜は、王家をはじめトリステイン王国全体に動揺をあたえた。
ド・フランドール伯を捕らえ、『黒幕はド・フランドール伯とドコドコのダレダレでござ〜い』と公表すれば、たとえ証拠が無くても、貴族や民衆、全トリステイン国民は支持するだろう。
ド・フランドール伯の身柄は政敵を葬り去る強力なカードになる……と、クーペは確信していた。
無法は百も承知だが、これからの改革の……いや、マクシミリアンの円滑な政治生活の為にも、是非とも手に入れたいカードだった。
(この事は、ミス・フランシーヌはもちろん殿下にも言うつもりはないですが)
マクシミリアンには謀略などの黒い部分はあまり見せたくない……と、言うのがクーペなりの気の使い方だった。
クーペはクーペなりにマクシミリアンに忠誠を誓っていた。
……
クーペら密偵団が大広間に到着したときには、中は血を肉で滅茶苦茶な状態だった。
「これは……」
フランシーヌは口を押さえ部屋の隅で喘いでいる。
一方、クーペら密偵団は遺体を一つ一つ調べていた。
「ド・フランドール伯の遺体は無いですね。おや、この男は」
「知り合いですか?」
魔法衛士の一人が聞いてくる。
「アルデベルテ商会の番頭ですよ。おそらく連絡役だったんでしょう」
クーペは説明した。
「クーペ殿、暖炉の下にハシゴがあります」
もう一人の魔法衛士が、暖炉の中に巧妙にハシゴが隠されてあった事を突き止めた。
「たしか屋敷の中には何処かに通じている秘密通路があると聞いたことがあります」
フランシーヌが、口元を押さえながら言う。
「追いましょう。密偵団は残って屋敷内の制圧を」
クーペの提案に一同頷いた。
……
密偵団を置いて、クーペとフランシーヌと魔法衛士二人は隠し通路を『ライト』で照らしながら進む。
「少々、カビ臭いですね」
「私の知る限りでは、何年も使ってないです」
クーペとフランシーヌの何気ない会話が通路内に響いた。
さらに隠し通路を進むと、ド・フランドール伯に追いついた。
「兄上!」
フランシーヌの呼びかけに、ド・フランドール伯は振り向くとその血走った目に思わず絶句した。
「フランシーヌか、この裏切り者……どのツラ下げて!」
そう、毒気づいてフランシーヌの腕を掴んで引き込んだ。
「ふっ!」
パァン! と、乾いた音が響く、フランシーヌの頬を張ったのだ。
「うう……」
「伯爵、お止めなさい。ご自分の妹君になんて事を!」
魔法衛
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