第七話 姉としての責任その十
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「行くわよ」
「そして最後にはだね」
「もう最後は決まってるわよ」
「植物園だね」
「そう、あそこだからね」
「姉さんもお花とか好きよね」
「お花嫌いな人はいないでしょ」
それこそという優子だった。
「どの人も何かのお花が好きでしょ」
「確かにね、僕は何でも好きだけれど」
「特に薔薇よね」
「前は白い薔薇が好きだったけれど」
その薔薇達の中で最もというのだ。
「今は青い薔薇も好きだよ」
「そう、青い薔薇ね」
「あの薔薇って昔はなかったけれど」
「今はあるわね」
「不思議だよね、青い薔薇ってね」
優花は微笑んで姉に話した。
「この世にない感じで」
「実際に有り得ないものよ」
「その意味で使われているんだよね」
「青い薔薇っていう言葉はね」
この世にはないもの、それが青い薔薇という言葉だったのだ。薔薇には青い色素を抑制する遺伝子があるからこそ。
「そうした意味だったから」
「けれどだよね」
「人間の情熱ね」
「青い薔薇を生み出したいっていう」
「その情熱がね」
「青い薔薇を生み出したんだね」
「この世にある筈のないことも」
優子はその青い薔薇とだ、優花を自分の中で重ね合わせつつ話した。
「あるものよ」
「この世に有り得ないことはないんだね」
「突き詰めて言えばね」
「そうなんだね」
「この世の中に有り得ないことはないの」
それこそというのだ。
「何でもね」
「そうなんだね」
「そう、青い薔薇もそうで」
そしてというのだ。
「他のこともだから」
「あるんだね」
「そうよ、何でもね」
「そういうものなんだね」
「だから優花もね」
「僕も?」
「あるものを受け入れるのよ」
弟にだ、まだ真実を言わないがそれでも言うのだった。
「いいわね」
「うん、何か急に真剣になったけれど」
「そうね、けれど何があっても」
「何があってもなんだ」
「私がいるから」
このことも言うのだった。
「安心してね」
「姉さんはだね」
「ええ、私がいるから」
例え何があってもというのだ。
「安心してね」
「それじゃあね、そういえば」
ここで優花はだ、姉の今の言葉を受けて彼のことを思い出した。そのうえで姉に彼のことを話したのだった。
「龍馬も言ってたよ」
「そうね、あの子もいるわね」
「何があってもね」
「優花の傍によね」
「あの子はね」
優子も龍馬のことはよく知っている、やはり幼い頃からの付き合い故に。
それでだ、こう言うのだった。
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