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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
1.プロローグ
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ていた。その中で遠田技研の共同開発の打診があった。
遠田技研の技術力の高さは太平洋戦争時から米国には伝わっており、米国内での評価としては遠田技研はトップクラスの兵器メーカーというものだった。この申し出を受ければ、遠田技研の技術力を吸収でき、帝国の戦術機開発にも加わることができる、ノースロックとしても遠田技研との共同開発は魅力的なものだったのだ。

惣一郎は執務室で今か今かと電話を待っていた。担当者の反応は上々。マクダエルでなく、ノースロックを交渉相手に決めたことも読み通り良い状況作り出してた。そして今日の会議でその是非が決まる。この交渉が上手くいけば、米国の技術を吸収し独自に戦術機開発を行うことができる。そのノウハウは帝国の兵器メーカー三社にはない独自のものであり、それを元に現状を覆すことができる。

そして待ちに待った運命の電話が執務室に響いた。

「もしもし遠田です。」
「ああ遠田さん。ノースロック渉外課のトムです。こんばんは。」
「こんばんは。それで会議の方はどうなりましたか?」
「それなんですが、遠田さん。残念なことに御社の申し出は見送られることになりました。」
「見送りって…一体どういうことですかっ!?先日までの話し合いでは間違いなく共同開発の提案に賛同いただけると聞いていたのに!」
予想を裏切る結果。それが運命の電話のもたらした報だった。
「私としては遠田さんご提案は当社の利益になると思っていたのですが、状況が変わりまして。」
「ご説明願いますか?」
「はい。遠田さんの打診を受けた当初は、当社としてもより多くの国に当社製品であるF-5<フリーダムファイター>の輸出を考えていたのですが、戦況が推移し今はヨーロッパが主戦場になっています。そしてF-4より安価な当社のF-5はEU各国で高評価を得ることができました。そこで当社の方針としてはより需要の高いEUを取引相手として選んだということです。」
世界各国の需要が高まる中で最初はF-4が飛ぶように売れていたが、供給が追い付かず、安価でコストパフォーマンスが高いF-5はEUを始めとした、BETA戦争真っ只中の国にとってより魅力的に映ったのだ。
「加えて御社の国内における状況についての調査結果が決め手となりました。」
「一体どういうことですか?」
「簡単に言ってしまえば資金力の問題です。戦術機開発というのは非常に難しいもので、軍の補助が欠かせません。私としましては御社の太平洋戦争でのご活躍から、帝国軍の援助を受ける準備が出来ていると思っていたのですが、実際はそうでもないようですね。主機を始めとした戦術機パーツの開発に関わっているようですが、今の帝国における戦術機開発は富嶽、光菱、河崎の三社がメインです。となると御社から受けられる当社の利益は帝国軍への足掛かりぐらいしかな
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