機動戦艦ナデシコ
1305話
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ませてくれ」
いや。本当は全く忙しくはないんだけど。
そもそも木星蜥蜴が襲ってこなければ、俺にはやるべき事はない。
にも関わらず、木星蜥蜴が襲撃してくる様子は一切ないのを考えれば、暇なのも当然だろう。
……それを素直に言えば面倒な事になるのは確実なので言わないが。
「あ、ああ。その、あんたがアクセル・アルマーだよな?」
確認するように尋ねてくる言葉に頷きを返す。
ここで否定してもいいけど、向こうは俺をアクセルだと知っての上で話し掛けてきてるんだろうし。
「じゃあ、あんたが、その……別の世界に国を持っているって話は本当なのか?」
「本当だ」
『うおおおおおお!』
俺が頷いた瞬間に、その場にいた者達が歓声を上げる。
そう簡単に異世界とか世界の狭間とかいう言葉を信じてもいいのか?
いや、疑われるよりはいいのかもしれないが。
「じゃあ、俺達をあんたの国に亡命させてくれないか!」
だよな。やっぱりこう来ると思った。
地球に見捨てられた以上、連合軍や連合政府、それとネルガルには頼りたくない。
特にネルガルなんかは研究所を見れば分かる通り、火星でそれなりの勢力を持っていたのだろう。
そのネルガルは、とっとと自分達だけで撤退してしまった。……この辺は俺の予想であって事実ではないのかもしれないが、ナデシコに対する態度を見る限り、少なくても火星の生き残りは似たように感じているだろう。
そしてこのまま火星に残っていてもジリ貧以外のなにものでもない。
そんな時、急に降って湧いた異世界の存在。そこにある国の代表でもある俺がいるとなれば、亡命を思いつくのは少し頭脳があれば分かるだろう。
ただ……
「難しいな」
「何でだよ!」
向こうにとっても断られるとは思っていなかったのか、反射的に叫んでくる。
「当然だろう。確かにお前達の境遇は可哀相だと思うが、だからってシャドウミラーに迎え入れる訳にはいかない。そもそも、お前達はシャドウミラーに入りたいんじゃなくてここから逃げ出したいだけだろ? そんな状況でシャドウミラーに亡命したいって言われても頷ける訳がない」
向こうも必死なのかもしれないが、こっちだってそう簡単に亡命を受け入れる訳にはいかない。
正直なところ、現在関係を持っている全ての世界でシャドウミラーに所属したいと希望している人数は大勢いる。
だが、今のところ交流区画でならともかく、本格的に迎え入れるつもりはない。
少数精鋭を旨としている……というのはちょっと言い過ぎだが、だからといって役に立たない存在を引っ張り込むつもりは全くないからだ。
まぁ、亡命って訳じゃないが、避難誘導的にシャドウミラーの一員となったエルフ達という前例はある。
だが
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