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魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜漆黒の剣士〜
第26話 「好敵手は災いの元?」
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あ多少恥ずかしくもあるが、昔何度かやった覚えがあるだけに懐かしくもあるが」
「もうあの頃とは違うのですから……子供扱いするのはやめてください」

 シュテルは顔をこちらからやや背けるが、俺の手を自分の頭から退かそうという素振りは見せない。それがどことなく小さい頃の彼女と重なり可愛く思えた。普段から今のような感じならば、俺ももう少し兄貴分的な行動をしてやりたいと思う。
 とはいえ、今日はもうここまでにしておこう。
 桃子さんに見られても微笑ましく思われるだけだろうが、ここは高町達も利用する場所だ。顔を合わせたことはないものの、先ほどあとで顔を出すかもしれないと言われたのでここで引いておいて損はない。

「……ぁ」

 と俺が手を退けた瞬間にシュテルが声を漏らす。人に甘えることが少ないだけにもう少しやってほしいとでも思ったのかもしれない。まあこちらと視線が重なった瞬間、これまで以上に顔を真っ赤にして俯いてしまったのが現状だが。
 ここでまた撫でるのも何か言うのも今のシュテルには悪手だろう。そう思った俺は、静かに読みかけだった本を手に取る。
 ちなみに何の本かというと、簡単に言ってしまえば工学系のものだ。父親や叔母といった技術者が近くに居たため、幼い頃から興味を持ってしまうのは仕方がないだろう。ならばお菓子作りも……と思うかもしれないが、そこに至っては下手な本を読むより母さんや桃子さんに聞いた方がいいので手を出していない。

「………………そういえば」
「ん?」
「最近はずいぶんと暴れ回っているらしいじゃないですか。デュエリストの間で噂になっていますよ」
「マジか……」

 まあ高町達の特訓の話を蹴ってからはユウキと一緒にデュエルばっかやってるからな。通り名持ちのデュエリストも何人も食い破ってしまったし。それを除いても最近はイベントデュエルの手伝いもしていた。
 八神堂に至っては、イベントデュエルではないが白石さんとのデュエルを見ている人間が予想以上に居たらしく認知度が上がってしまっている。率先して目立ちたいとは思わないが、実力のある人間が注目を集めてしまう世界なだけに仕方がないかもしれない。

「マジですよ。……そもそも、あなた程のデュエリストが本気で戦えば注目を集めるのは必然というものでしょう。ロケテスト時、私にしか使っていなかった二本目も常時抜いていると耳にしていますし。あなたのことを本当の意味で本気にさせられるのは私だけだと思っていたのですが……」

 シュテルの顔には先ほどまでの赤味もなければ、唇を尖らせたり頬を膨らませるといった露骨な感情表現も確認できない。しかし、声にどことなく拗ねているというかある意味焼きもちを妬いているかのように思えたのは俺の気のせいだろうか。


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