御使いのいる家 ぱ〜と3
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一瞬テンプティにもトドメを刺して全滅させようかとも思ったが、雨で憂鬱だからお喋り相手がいなくなるのは嫌だ。認めるのは非常に癪だが………テンプティのウザさは最終的に笑って済ませられるものなのだ。少なくとも、俺の前では……。
て、テンプティの事を気に入ってる訳じゃないぞ!ただ、気が合わない時は合わないけど、合う時は合っちゃうってだけの話だかんな!ツンデレとかじゃなくて悪友的なアレだから!!
= =
惑星エス・テランで生きる人間たちは、何のためにシンカを求めたのか。
きっとその答えは融合の時に細分化されてしまって御使いの中でもバラバラなんだと思うけど、テンプティはこう考える。
「死の恐怖から解放され、何の不安もない生き方を手に入れる」。
死への恐怖とは人間にとって究極のストレスであり、「楽しみ」の対極に位置する。だからテンプティは己が「楽しみのテンプティ」として存在するようになった時、死の恐怖から解放された絶対的な地位を全力で楽しんだ。
他の生命体がシンカするのを邪魔することに抵抗はなかった。至高神ソルの下に全ての行動が許されているので、責を負う必要もなかった。テンプティの立場そのものが絶対的な免責であり、御使いの存在でさえペテンだったからだ。
この世の全てはペテンで出来ていた。例え誰かに恨まれても、絶対的な時間と空間の超越者であるテンプティには何でも出来た。騙すことも、驚かせることも、恐怖で泣き叫ぶように追い込むことも、なかったことにすることも、全部出来た。嫌だと思ったものは即排除して新しい遊びを探す。気に入らないゲームを売り払って新しいゲームに没頭する飽きっぽい子供のように、テンプティは思いつく限りの楽しみを追求し続けた。
全てを楽しむことが出来た。何故なら楽しみの反対である悩みや苦しみ、不安を抱く必要が御使いには全くなかったからだ。やがて御使いにこれまでにない変化が起きても――例えばドクトリンがアドヴェントを追い出すと言い出した時も――テンプティは「面白そう」と思った。
御使いは完成された完全な存在だったから、変化というものがない。別段一人いなくなっても困ることはないし、「何かが変わるかもしれない」という期待もないわけではなかった。結局その変化は最悪な形で実現するんだけど、その頃は何とも思わなかった。
何より、御使いと共にいるよりあらゆる世界の知的生命体と遊び続ける事の方が楽しくてしょうがなかった。ありとあらゆる世界のあらゆる存在――無限大の選択肢。その頃にもなると『楽しみ方』も豊富になり、自分の死さえペテンにすることに躊躇いを覚えなかった。死んでも生き返る、いや、本質的には最初から死んですらいない。だからやりきれない時はやり直せばいいし、失敗した時
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