第十一話。デート・ア・ミズエ 中編
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たが。
一之江は何故か俺から顔を逸らすと。
「寝言は寝てから言って下さい」
ただ一言呟いた。
「あれ。ダメだったか?」
ってきり、今後も荷物持ちやらされると思ったんだが。
「……本当に、貴方は真性のバカなんですから」
小さな声で何かを呟いたが、聞き取れなかった。
読心をやろうと思えば出来たが……それは野暮だからな。
だから話題を変えることにした。
「それにしても一之江は負けず嫌いだよな。まあ、あの戦いに負けたのは俺が足を引っ張ったから負けたり引き分けたりしたせいだけど」
「私くらい超最強美少女になると、貴方が足を引っ張ったくらいで本来、負けたり引き分けたりしないんです。なので、これは私の慢心が生んだ結果だったと思い込むことにしました」
本当、自分自身に対して負けず嫌いな奴だよな。勝利への弛まない努力とか、反省して次へを見据えるその行動力とか。本当、そういうところはアリアにそっくりだよ。
『お嬢様』な一面とか。『幼児体型』とか。『切れるとすぐに手が出る』とか。
そういった外面もだが。
内面もそっくりだよな。本当に。
俺はお前に出会えてよかったよ。
そして、そんなお前のような『最強』を『物語』にしているなら『最強』なお前を超える『物語』にならないといけないよな。
いずれ、『離れ離れになる』にしろ。
……なんとなく。なんとなく予感がするんだ。
アリサに『もうすぐ死ぬ』なんて告げられたからかもしれない。
だから、こんなことを考えるのかもしれない。
俺はもうすぐお前の前からいなくなる。
そんな予感が。
「……モンジ?」
「あっ、悪い。なんだ?」
「いえ、ここから少し行った先に美味しいハンバーグ屋があるのですが……どうします?」
ハンバーグ屋か。
そういや、最近ハンバーグ食べてないなぁ。
前世ではよくハンバーグ弁当食べてたんだけどなあ、コンビニの。
しかし、荷物持ちのお礼でハンバーグって……。
子供じゃないんだが……。
「お供させていただきます」
「ええ。荷物持ちのご褒美に、金持ちの私が下々に恵んであげましょう」
え? 子供扱いされるのは嫌じゃないのかって?
せっかくの一之江の好意を断るのも悪いだろう?
決してハンバーグに心惹かれたとか、割り勘じゃなく一之江の奢りで食べれるから、とかそんな理由じゃない。ないったらない!
「こっちです」
一之江の言葉にハッと我に返る。誰に説明してたんだ俺は?
一之江を見るとスタスタと歩き始めてしまう。どうやら移動は徒歩のようだ。身軽になった俺は、先を歩く一之江の背を追って駆け出した。
境川に面した川沿いの通り道を一之江と共に静かに歩く。
ジョギングをする人、
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