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101番目の舶ィ語
第十話。デート・ア・ミズエ 前編
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とても綺麗だった。









一之江に確認すると、やはりシャトン・コールとは前にレキと体験したイベントで。
カフェの中にいる猫を自分達のテーブルに何匹呼び寄せられるかを競うものだった。
制限時間は1分。席を立ったら失格。手で掴むのもNG。
参加資格はカップルの男女。
カップルに間違わられるのは死ぬほど恥ずかしいのだが、背に腹は代えられない。
誤解されてる事を逆手に取って、カップルの振りで商品を無料でGETしてやろう。

『参加カップル名。疾風・瑞江』……と俺は震える手で黒板に名前を書く。

イベント参加者の名前を書く黒板を見る度に恥ずかしくなるのだが……。
一之江は俺の向かい側で平然と紅茶を飲んでいる。
優雅に、気品良く。
コイツには恥ずかしさとか、羞恥心はないのだろうか?
(しかし……猫を呼び寄せる、か……)

勝算は低いな。俺、動物に好かれないし。
昔、青海で迷子の子猫を見つけた時も爪で引っ掻かかれたくらいだし。

「はーい、準備はよろしいでしょうか?
はい、始め!」

そんな俺の心境を他所に、カフェの店員さんが開始の宣言をしてしまう。
店内にいた他のお客さんは、一斉に「おいで、おいで」しているが。
猫は寄り付かない。
それもそのはず。
猫は警戒心の強い生き物だ。
店内をウロウロするだけでは、寄り付かない。

「ほ、ほら、こっちにおいでー」

俺も近くにいた猫に手招きするが______フンッと、そっぽを向かれてしまう。
やはり、簡単にはいかないか。

「動物を従わせるレキやリサもいないしな……何とかしないと」

代金を支払う羽目になる。
さっき、店内を見て回ったが、置かれている商品は全て諭吉さんクラスを最低でも数枚支払わないといけない値段だった。
見かけとは違い高級店のようで。
庶民の俺では払えない。
何とかしないと財布がヤバイ……。
と、焦る俺の横にしゃがみ込み奴がいた。
一之江だ。
一之江は______猫に一度視線を向けると、猫達とは別の方に背を向けて。
一言。

「にゃーん」

と、言った。


……
……
……に……
……『にゃーん』……だ、と……?
聞き間違いじゃない。あの(・・)一之江が間違いなくそう言った。
絶対に言わないであろう言葉・ベスト3に入りそうな台詞の言葉。
それを言った。
っていうか……何でにゃーん?
鳴き真似のつもりか?
そんなことで猫が近寄るはずは……あれ?
て、店内の猫達が近寄って来ちゃったよ!

「なッ……?」

何故だ?

「当然です。猫すらも振り向かせることが出来る。
それが私『月隠のメリーズドール』ですから」

あー……これはあれだ。
さっきの鳴き
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