第十話。デート・ア・ミズエ 前編
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ら着ただけだ。
メイドがいると、こういう時便利だよな。
「で、まずはどこに行くんだ?」
「百貨店のブティックからです」
先に行く一之江の後を追いかけて、その横に並ぶ。
途端、いい香りが漂ってくるのが解る。
「なんかいい香りがするな」
鼻が効く俺には、それが香水の匂いだとすぐに解った。
「会って早々、女の子の匂いを嗅ぐとか流石の変態ですね」
「そんなんじゃねえよ??」
プイッと、顔を背けてスタスタと一之江は先を歩いて行ってしまうが。
あいつ、普段から外出の時はこんな感じなのか?
それとも、俺と出かけるから……。
「って、流石にそれはないな」
一之江に限ってそんなはずはない。
理子が言うところの。
永久凍土少女。いや、一之江の場合。ナイフで刺すからツングサだな。
ツンツングサグサはあっても、ツンツンデレデレはない。
一之江と過ごした中で解ったが一之江にはデレはない。
デレないツングサ少女。
それが一之江だ。
そんな彼女が俺の為にわざわざお洒落や化粧をするはずがない。
そう結論付けて俺は彼女の後を追った。
百貨店に並んで入ると、一之江はまるで俺なんかいないかのように自由気儘に店内を歩き回り。気になる店があれば立ち止まり。ウィンドウを眺めていると思ったら、別の店に入って行ったりとその行動は先が読めない。
だけど、服を見ている時の一之江の横顔や、小物を物色している時の楽しそうな表情なんかを見ていると出かけて良かったと思ってしまった。
あっちのモードじゃないのに、そんな風に思ってしまうなんて……。
俺は……一之江の事が……。
「モンジ」
「っ?? ……なんだ?」
一之江に突然名前を呼ばれてテンパってしまう。
まさか、今のも読まれたのか?
「……不埒な事を一人でムフフとか、考え込んでいるのは構いませんが、そんなことより」
「不埒な事なんて考え込んでないからな!
……で、どうした?」
さらっとモンジ呼ばわりされてるが、もういい。突っ込むのも疲れた。
「ちょっと質問なんですが」
「ん?」
「この汚れを知らない乙女のような白いワンピースと、返り血に染まった戦乙女のような赤いワンピース。どっちがいいですか?」
一之江は両手に色違いますワンピースを持って俺に尋ねてきた。その行為そのものはまるでデート中のカップルがやりそうな事で、俺達くらいの年齢の男女がしてもおかしくはないのだが、いかんせん表現がおかしくないか?
「返り血ってお前な」
「貴方の血管を切り裂いた時に目立たないかな、と思いまして」
「やっぱり俺のかよ!」
「ですが、ほら。白いワンピースが貴方の血の
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