84話 剣士
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切れそうなんだ。
「裁け、と言ったな。トウカや」
「はっ」
「では、こうしようの。トウカ・モノトリアよ。近衛の任を解く!」
「畏まりました!」
……え?血を吐くようにトウカが、返事が叫んでいるように聞こえるんだけど。トウカ……確かに、女の子だけど……まさか、ずっと、生まれてからずっと近衛になって陛下と姫をお守りするために、そのために努力していたのに……トウカの、近衛の、任を、解く?まさか、ご慈悲を、陛下!
というかトウカで駄目ならトロデーン兵は全滅……ってほぼ全滅してるんだった!全滅ですよ陛下!トウカ手放したら絶滅ですよ陛下!僕じゃ駄目です陛下ぁあ!
「おお、《《剣士》》トウカよ。何故おぬしのような人材がどこにも所属していないのじゃ?ふむ、我が家臣とならんかの?」
「……は?」
……えっと?つまりは?
「ふむ、なるかの。よろしい、腕を見込んで近衛かの」
「えっと、陛下……?」
困惑してるね、僕も理解出来ないよ、トウカ。君だけじゃない。みんな唖然としてるから。
つまり陛下は……その、つまり……うう、理解が追いつかない。
「剣士トウカ、女の身でありながらこれまでの旅での功績は見事であった。なんら栄誉あるトロデーン近衛兵として不足はないの。特例はいつの時代も付き物じゃよ」
「……陛下、私めをお裁きください……ご慈悲は……」
「のう、トウカや。頭の固いモノトリアはいつでもそうじゃ。国を築いたその日からモノトリアはトロデーンの従者じゃった」
「……」
陛下はトウカ・モノトリアじゃなくて、剣士のトウカに近衛になれって命令してるってこと?えっ同一人物じゃないってことにしようと?それで許すってことですか?それじゃあ今までのトウカの実績も努力もなしってことになるんじゃ……そういうペナルティってことなのかな……。
理解が追いつかないよ。
「どうして従う?どうしてわしらに……どこでもやっていける名誉を持つ者が集うのか?分からんのじゃよ、トウカ。わしたちはそれに報いねばならん。トウカよ、十八の娘でありながら……いや、それ以前から、王族や国のために尽くしたおぬしは、騙していた訳ではないのじゃ。そうだとしても、……わしたちは返せるものはないのじゃよ。それでも国を救う、その手伝いをしてくれるかの」
「……もちろんでございます」
陛下としては罰を与えたくないけどトウカが求めてきたからこういう形にしたってことなのかな……。
僕はそんな、縛られるような血筋とか無縁だから。だから分からない。分からないから、……トウカが今何を思ってるのかなんて想像もできない。
「うむ。ではこの話はもう終わったの」
「……すべては陛下のお心のままに」
「それはやめるように言っても……モノ
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