77話 無体
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ではすまないだろう。そう思ったのに、それに当たらぬよう斬り込んだトウカが空高く吹っ飛ばされたのはすぐだった。
「あぐぅ……」
後衛のこちらまで吹き飛ばされたトウカ。さすがの彼女も起き上がれないようであいつの強さが嫌でも思い知らされてしまう。……ベホマだけでなくスカラを、そしてすぐに礼を言ってすっ飛んでいく姿を尻目にスクルトを唱えれば、槍を構えていたエルト、斧で斬りかかっていたヤンガスも吹っ飛ばされてきて……回復が追いつかないだろ!
ベホマラーで全員の傷を癒し、ガタガタ震えて使い物にならない王子をそれとはなしに逃げ道を塞いで前に押し出すとアルゴングレートの首筋から血しぶきの噴水が吹きあがる。
派手に戦っている……ということは押し負けていない。安心して……少しも安心できない状況かもしれないが……俺があと一回念のためにスクルトを、と構えた途端。痛みや怒りで猛り狂ったアルゴングレートは、俺達全員を吹き飛ばさんと岩山をも砕く尻尾で薙ぎ払ってみせたのだった。
焼けるような痛みと、打ち付けられた背中の……痛みではなく熱さ。それからこみ上げる血の味が不快で、思わず意識が一瞬飛んでしまったのも無理はない、と言い訳が浮かんだ。
そして起きあがってベホマラーを再び唱えた俺に見えたのはその巨体で飛びかかってくるアルゴングレートの姿で、止めようと斬り掛かるトウカをいとも簡単に振り払っている様子だった。
暗転。
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