76話 紅玉2
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食にわがままを言っているチャゴス王子には昼間猛威を振るったエルトの槍を引き寄せてみせたら静かになったけど。
エルトは本当に槍の名手だよ。最初の一匹のアルゴリザードこそ出番が少なめだったエルトだけど、二匹目、三匹目では薙ぎ払いに雷光一閃突きが素晴らしくって、思わず見とれそうになったんだ。薙ぎ払いはともかく魔力のない私には雷光一閃突きなんて真似出来ないから、なおさら。
私も対抗して、エルトが「動かずの槍」なんて名前を付けた槍で戦おうかなってちょっとは考えたんだけど、……残念ながら槍二人っていうのはちょっとバランスが悪くてね、断念した。
だってそこそこ場所を食うんだよ、槍は。広いとはいえ相手は一匹、ぶつかっちゃうよ。まぁ、王家の山には他の魔物も出るから困るってほどでもないけどね……武器の被りは避けるべきだよ。
そうそう、ククールはレイピアだけど、彼はまぁ、私みたいに最前線で戦うより後衛が多めだし気にすることはないけどさ、エルトと私は戦闘スタイルが似てるし。
あー……バトルレックスって美味しいのかな、落ち着いたら気になってきたよ。
「ちょっと行ってくる」
「……もう真っ暗よ?」
「野暮用だよ」
「鍛錬とかバトルレックスの肉目当てだったら野暮用じゃないけど」
「何でわかるの?!」
「むしろなんで分からないと思ったの?!」
こっそり一欠片ほど焼くために狩ってこようと思ったらエルトにバレちゃった。本当になんで分かったんだろう……付き合いが長いから?それが理由じゃなかったら不思議すぎる。座り直してエルトを盗み見ればお見通しだよとジト目で見られてしまった。うん、流石は親友。私のこと良くわかってるね……。
「だって、アルゴリザードは細切れにしちゃ駄目だから、バトルレックスはしただろ?サイコロステーキにちょうどいいサイズでさ……」
「トウカが野生に返っても驚かないことにするけど、そういうのはまた今度にして、頼むから」
「おい、今度ならいいとか問題の先延ばしにするのはやめろ。キアリーをするのは俺だぞ?」
「ボクの腹は強いから心配しないでよ、ククールってば」
そこでみんなで笑えば、仲間の団欒で居心地が悪くなってしまったのかチャゴス王子は馬車に入っていった。寝るのかな?まぁ、護衛任務は私のプライドをかけて守るから安心して欲しい、ちゃんと完遂するさ。
さてと、ご飯も食べ終わったし、でも鍛錬でどっか行っちゃいけないみたいだから追加で聖水をまいてっと。姫様や陛下は一番奥の、狙われないところでお休みになるにしても私達はこの焚き火を前にして見張りをひとりはしなきゃいけないだろうね。……これも本来なら、王子一人でやるはずだったのにさっさと安全なところに行っちゃって……こんなのが王となってサザンビークは大丈夫
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