72話 作戦
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「あっ」
しばらくみんなの作戦会議を聞きながら、腕を組んで考え込んでいたトウカは手を打つ。そして、いいことを思いついたんだと僕たちを誘導し、チャゴス王子の部屋よりも上の階へと登っていく。トカゲはまだ捕らえたままで。……いい加減、その子可哀想だし、離してあげようよ。
「あのさ。思いついたんだけど……トカゲを王子の上からばら撒くってどうかなぁ」
「上から?床でもぶち抜く気?」
「まさか。ボクがそんなに乱暴者に見えるっていうの?」
「そうじゃないけど……」
乱暴者には見えないと思うけど、やりかねないとは思って。まぁ、これは言わないけどね……。それにするかどうかはともかく君には可能じゃないか、一応ね。
「まず、壁の割れ目とか隙間とかを探すんだ。なければ作る」
「……やっぱり」
「あくまで、なければ、だよ!」
「あるものなの、そんなの?普通……城にそんなところがあったら修繕するよ……」
「水場にトカゲがいるのに?」
いやいやそれとこれは全くもって別問題じゃないの?そんな杜撰なはず、ないでしょ!サザンビークだよ?世界の王国でも指折りの国、かの竜殺しの国だよ!?竜とは言いつつなんか聞く所によるとどちらかと言えばそれこそトカゲみたいな魔物を指すみたいなんだけど、この際いいよ!
「探してみないと、ね?大体嫌ならエルトは何か案があるの?」
「ないね」
ちょっとだけ意地悪な感じにトウカは言い、返事に何度か頷くとがしっとトカゲを掴んだまま、こう皆に言い放ったのだった。
「じゃあ、あのバ……おっと、王子の上からトカゲを落とす楽しいことをしようよ」
もしかして、トウカ、それしたいだけなんじゃ……。そっぽを向いていたゼシカがこちらをちらりと見てくるけど、その目はなんとも死んでいたし、ククールは半笑いだ。ヤンガスだって流石に肯定はできないのか、だからといって否定もできずに硬直していたし。ここはガツンと言うべき、かもしれないけど。
正直代案も思い浮かばないので僕は曖昧に笑うしかなかった。ヘタレ?そうだよ!
・・・・
・・・
・・
・
「よいしょお!」
小声で威勢のいい掛け声を出して樽を押しのけているトウカ。手伝うヤンガス。僕はトカゲを預かって、手伝うか手伝うまいか困惑しているククールを横目にポケットからトーポに出てきてもらっていた。
僕の家族。幼い時から一緒にいるねずみのトーポ。君しか今、頼れないんだと語りかける。
仮にトウカの言うとおり隙間やヒビ割れが見つかってもトカゲをそこから押し込んでなんとかなるものじゃないだろうし、トカゲを誘導する手段が必要になるだろうし。まあ、王子の部屋の天井にも穴が開いていなきゃこの話は決行しても無かったことになるんだけど、そこのとこ
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