72話 作戦
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ろは大丈夫らしい。トウカ曰く。
曰く、王子がトカゲが嫌いなのは以前頭の上にトカゲが落ちてきた、かららしい。自室でね。だから穴はあると。……普通に修繕してるんじゃない?とも思うんだけど……まあ、そこは考えないでいよう。
予想では、僕はだけど、あのチャゴス王子はそんなに後から冷静に何故そうなったのかを考えられるタイプじゃなさそう……という偏見を抱いているから……天井を直せ!とか命令してないんじゃないかな?自室のことだし、父君であるクラビウス王は何も口出ししないのが普通のはず、ひどい言い方だけど人望がない方だから……お城の人、原因に気づいてもわざわざ進言したりは、していそうにないね。
「あ」
「え?」
「あったよ、トカゲとトーポが入れそうな所」
……えぇ。
そんな筋書き通りのことって、あるんだね。
どれどれと覗いてみればなるほど入れそうな隙間。その下が王子の部屋なのは構造でわかるし……。ねぇ、もしかして王子がトカゲが嫌いになった原因らしいトカゲの落下って。……いや、邪推はやめておくよ。
「じゃあ、お願いしてもいい?」
ぱんと手を合わせてトウカがトーポに頼み込んでいる。ちゅうと小さく鳴いた彼は了承したみたいだ。そこで僕はトカゲを隙間にそっと押し込むと、トーポをその隙間というか割れ目に入れたのだった。
「成功するかしら」
「賢いねずみでがすね、さすがは兄貴のポケットの存在でがす」
「期待してるからねぇ」
半信半疑どころかほとんど期待してないゼシカ、ちょっとベクトルのずれたことを言うヤンガス……ペットと言わなかったことがとても嬉しい……、元気に走っていったトーポに向かって声をかけるトウカ。後ろで黙ってみていたククールはぼそぼそと、「ねずみとトウカか」とか「小動物と小動物の破壊力」とか訳のわからないことを言ってて心配だ。大丈夫かな?……え、扱いが酷い?やだなあ、そんなわけ、ないじゃないか。
程なくして、大きな悲鳴が二回ほど鳴り響いてそのかなり杜撰な作戦が成功してしまった事に気づいて、トウカって予見の目でも持ってるんじゃないかとちょっと考えてしまったりしたわけだけど。
まあ、終わりよければ全てよし?始まってもないけど。
これで護衛任務が始められる。そんな安堵と、ここまでしないと出てこない王子を果たして護れるのかという不安が綯い交ぜになって胸の中を満たしていた。
「作戦成功!」
無邪気に笑うトウカは、早くその護衛任務で剣を振りたくて仕方が無いよとひたすら脳天気で、すぐに考え込むのはよしたけどね。
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