71話 蜥蜴
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待できないんだよなあ。
・・・・
堂々たる体捌きでサザンビーク城内を歩いていたトウカが人影がないところでやっと歩くのをやめた。そしてぱっと振り返って、僕らをちょいちょいと手招きする。
「さーて、さーて。作戦会議だね?」
「あぁ、そうだな」
こちらを見上げながら笑顔でうんうんと頷くトウカ。……本当の性別を知ったからか、同じ動作を見て今までなんにも思わなかったのに女の子らしいなぁとかよくわからないことを考える。都合がいいな、と自分に思うよ。
まぁ当の本人は変わらずその背には僕より重いであろう剣がずっしりと存在してるわけだど。やっぱりトウカはトウカなんだよね。……仮に守って!と言われようと、護ろうとしようにも僕の方が弱い、という事実は胸に突き刺さるけど。トウカだから仕方ない。でも、トウカは女の子だ。……女の子な前にトウカか。なら仕方が……いやいや。
「あ、そうだ。チャゴス王子とトウカは面識あるの?」
「あるよ。まぁ向こうは覚えてるか分からないけどね……何分昔だ」
「そう……」
「あ、でも彼の弱点なら知ってるよ。まぁまぁ有名なことなんだけどね」
それが使えるかは微妙なんだけどね、と前置きしたトウカはそこらにおいてある調理用の水なんかが入ってる樽を横に寄せてその周りをなにやら探した。……他国に対して失礼な言葉かもしれないけど、普通そういう水場の樽の下なんて汚いと思うけどなにしてるの?
「いたいた。こいつが王子の弱点だよ」
そしてすぐに目的の何かを見つけたのか片手にトカゲを……ってなんで手袋してるからって普通に掴んでるの。というか城にトカゲがいていいの?僕が小間使いだったら大目玉だよ?ほら見て、ゼシカのドン引きした顔を。訳が分からないよとばかりにきょとんとしないの!
「トカゲちゃんはわりと可愛いとね、私は思うんだけど……王子はトカゲが何よりも嫌いみたいなんだ」
「そ、そう……」
「なんとかしてこいつを部屋に投げ込めば王子も出てくるかもね?扉ぶち抜いて投げ込むのは流石に許されないだろうけど……窓からとか、上からとか。天井に穴空いてたら、そこから落とせるけど……うーん、天井裏はちょっと入れないよなぁ」
うらうらとトカゲを親指で構い倒しながらトウカは肩をすくめた。
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