69話 「彼女」
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てるんだけど。それでもこんなに無茶なことをしたのは単純にライティアのプライドをへし折ってやろうという考えから。馬鹿なことを?そんなこと、分かってるよ。
瞬く間に視界が濃い紫色に覆い隠され、ライティアの下品な笑い声が聞こえて来た。……思っていたよりも発動が高いけど、これならなんとかなるかな。
私に魔法がぶち当たる、瞬間。
「嫌ぁぁぁぁっ!ごめんなさ、ごめんなさい!許して!許してよおおっ!」
「……えっ?」
何故だか呪いを防ぐ例の魔法陣が現れて私を守り、魔法を放ったはずのライティアが頭を抱えながら誰かに許しを乞うという訳のわからないことになっていた。視界の端をちらつく髪の毛は銀色で、またかというのが正直なところ。頭も痛くなければ体は万全で、ちっとも前兆もなかったし……なんでだろ。
「……トウカ、大丈夫?」
「うん。全くの無傷なんだけど……なんであいつ転がってんの?」
駆け寄ってきたみんな。問いかけてきたエルトに答え、もがきながら必死に謝り続けるライティアを見下ろしておく。……ぼんやりとライティアの前に仁王立ちして凄い形相の男の姿が……幽霊みたいに薄ぼんやりと見えるのは、気のせいかな?私に魔力なんてないのだから、魔法的なものじゃないだろうし……あれはなんだろう?
《モノトリアの宿命に逆らった裏切り者が……未来を見る力も使えぬ愚かなお前が最後のモノトリアとは、この俺が泣けてくるほどだ》
はっと馬鹿にしたように腕組みしてライティアを見ている男。背が高くて、引き締まった体の強そうな人だ。剣を背負っている……是非とも手合わせしたいな。今はそれどころじゃないんだけど。髪の毛は白?目の色は?色彩がない影みたいな姿で判別ができなかった。
《愚か者が……俺の存在を知りながら、主に手を出したのか……っ!二度目はないぞ!見逃してやったというのに……》
彼は、私たちの……みんなにも見えていたらしい……方に向き直り、何故だか私に優しく笑いかけてふわっと四散して消えた。……謎だ。ライティアを苦しめたのはこの人みたいだし、発言からするとモノトリア家の始祖?先祖?最後のモノトリアってライティアに言ってるぐらいだから私が捨て子なのはわかってるのかな……?でも私だって一応血は引いてるんだけど。なんでだろう。……やっぱり認めたくないのかな?でもその割には笑いかけてくれたし……あったかい、安心するような優しい微笑み。
「ごめんなさい、ごめんなさい!あぁ……アーノルド様ぁ!天罰をくだされるのだけは……どうか……あぁあああっ!見えない!未来が見えないの!」
「……アーノルド?」
「聞き覚えがあるけど……」
「ドルマゲスがトウカと勘違いした人の名前ね。確かにさっきの人、トウカにそっくりだったけど」
嘘だよ、そんな
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