第一章:大地を見渡すこと 終
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戦に望む諸侯のうちいずれかの軍隊に志願することである。
そして彼はその志願先を既に見据えていた。洛陽のすぐ東にある潁川《えいせん》で歴史的な邂逅を果たす二人の王、劉備玄徳と曹操猛徳である。前者はまさに王道を行く者、正史では行く先々で狸っぷりを見せ付けて危険を察するとすぐさまに逃げ出して、最後には蜀を建国するまでに生きおおせる男である。後者は覇道を行く者、正史・演技問わずその王才をどの場面でも発揮し、後世には彼は軍人・政治家・詩人として名高いほど。全く相容れぬ天に愛された両者であるが、そうであるが故に天下三分のうち二分を担うのである。
彼らの元へ行くという事はすなわち、群雄割拠の世を生き抜くために戦乱を通じて血飛沫と断末魔が絶え間ない世界に足を踏み入れることである。仁ノ助はある程度は可能かもしれないが、この女性にはどうみたって不可能である。そう断じるも絶対に折れる気はなさそうだ。諦めつつも問うてみる。
「それを選んだ理由は?」
「いざとなったら守ってくれる人が、あんた以外知らないから。勿論足を引っ張らないようにして、自分の身を守れるように強くなるわよ!こうみえても武術には一応自信があるし!ただあの時は得物を持ってなかっただけで・・・」
「はいはい、分かりました。どうぞ私めに付いてきていただけますか、お嬢様。」
彼女の長ったらしい言い訳を聞く気にもなれず、若干ノロケにも聞こえた理由を聞き流して諦めの境地で話し、買い物を続けるために足を速めた。
詩花は一瞬立ち止まって、自分の願いがあっさりと叶った事に喜んで軽くその場で小躍りするようにステップを刻み、腕でガッツポーズを決める。そして嬉しさをそのままに彼の隣に駆け寄って肘の下辺りを掴んだ。
「ほら!そうと決まればさっさと行くわよ!!」
「おい焦るな!!そっちじゃない!!」
駆け足に走る彼女にひきずられそうになりながら慌てて彼も足を合わせ、間違った道へ入ろうとする彼女を止めようと叫んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以下彼の奮闘をいくつか抜粋する。
「ねぇねぇ、この綺麗な宝石なに!?触ってもいい!?」
「お嬢様は御目が高くていらっしゃる。これはかの桓帝の側近の御息女が、幼き日よりご愛用申し上げられた由緒正しき宝玉でございまして・・・・・・」
「そうなの!?余計触りたくなるじゃない!!!」
「そんな豪華なもんがこんなとこに売ってるわけ無いだろ!!ってか触るな!!いじるな!!!!」
「この鞍いいなぁ、金毘のためにこれ買ってもいいよね?」
「今の鞍だって十分に良いものでしょうが。あれかなり精巧な木製のやつでしょ。なんで小さな商家のお前がもってるの?」
「家出するときに奪ってきちゃった。てへ★」
「お前、実は人の恨みをかなり買うタチ
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