64話 霧
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生物の気配が感じれない冷たい不毛の大地を歩き、たどり着いた先にあった遺跡の入口に近づく。遺跡の方で人の気配がするけどそれはギャリングさんの部下だろうな。数は少ない。
あの人数ではなんともならないだろうな……特別弱いわけじゃないけど強そうでもないように感じるから。一般的なトロデーン兵以上近衛兵以下ってとこかな、平均は。もちろん目で直接見たわけじゃないし、感じ取れる気配からの推測だから大した精度でもないだろうけどさ。でも、この遺跡って敵地でしょう?なのに外から気配がわかるっていうのはよほど強くない限りは……褒められた行為じゃないよね。だからそんなに強くないんじゃないかな?
「……嫌な所ね。悪意を凝縮したのをぶちまけたみたいよ……」
「あぁ。マイエラの時と同じ気配だな……」
魔法得意組もそう思う?
荒廃した土地と同じくボロボロになったその場所に足を踏み入れれば、目に飛び込んできたのは唯一形を保った遺跡。周りにある小さい建物はどれも大なり小なり崩れたりしているというのに、その大きな建物……いっそ魔神殿とでも呼ぼうか……は、暗黒の気配を纏ったまま鎮座していた。
……一体全体、何百年そこにあるのか……分からない。私はこれでも生まれ変わってからは観察眼を磨いてきたつもりだけど、「闇の遺跡」の建築された時代も、その方法も分からない。
ぱちり。そんな小さな音を立てて私の体のすぐそばで何かが弾けた。
「……、またか」
「えっ?何のこと?」
「髪の毛も目の色も変わってないけどトウカの周りで魔力が弾けたんだよ……やっぱりなるか……好きでなってるんじゃないのは承知の上だけど、お願いだから戦線離脱しないで欲しいな……」
……あぁ、あれか。脱色現象とでも言うしかないあれ。久しくなかったから分からなかった。来ないで欲しいものランキング第一位だよね……。私にとっても、みんなにとっても。
「大丈夫。頭も痛くないし、体調も悪くない。それに……ドルマゲスを殴れるかもしれないチャンスで私が使い物にならなくなるとでも?」
「分かってるよ。でも心配だからさ」
「ありがとう。……まぁ、ぶっちゃけ自分でもどうなるか分からないからさ……気を強くもっておくよ」
それでなんとかなるとは言いきれないけど。痛みにはこれでも、日本で生きてた頃よりは強くなってる筈なんだけどなぁ?やっぱり頭の中を揺すぶられるような痛みには慣れない、か。鍛えようがないから……頭の中から針刺してくれだなんて言われても出来ないからね。
「さぁて……遺跡に突入、出来たらいいな」
「気を抜いてはいかんぞ」
「もちろんでございます」
陛下のお言葉通り、油断せずに右手に双剣の片割れを構え、いきなりの攻撃に備えて誰かのお下がりの適当な盾
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