61話 街
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、あなたぼーっとしてたじゃない」
あはは、申し訳ない。にしてもその名前からして軽そうな盾をみんなは欲しいのかな?
「軽くて良さげな盾だね。でももっと重くていいから丈夫なのはない?」
「申し訳ありませんが、他の盾は売ってないのですよ」
「そう。あ、綺麗な髪飾りだ」
盾を手にとったトウカは小さな声でぶつけて壊しそうだという物騒な呟きをこぼし、幸せなことに聞こえなかった店主にほかの盾を要求。無かったから諦めたなと思ったら、今度は女物の、サンゴの髪飾りを見て動きを止めた。確かに、頭に飾るだけじゃなくて部屋に飾っても綺麗な……ただし間違ってもモノトリア家が飾るようなものじゃない……髪飾りだった。
現実的に考えたらこれで防具としての役割が果たせる訳もないんだけど何故か防具として使える代物。女の子のゼシカがつけたら似合いそうな華奢なもの。それを見たククールが試着の許可を求め、手にとった髪飾りを……何故かゼシカじゃなくてトウカの頭に乗せた。ふざけてるんだろうけど、装備できないんだから弾かれるはずだよ?なんか良く分からないけど、不思議な力で。
「……あれ?」
「飾り系はほぼ全部装備できるんだよね……男物も女物も」
「へ、へえ……」
何故かそのまま留まった髪飾りに、ククールの顔がぴしりと固まった。弁解するトウカの声は若干震えていた。そりゃ、十八にもなって娘さんがする髪飾りを頭に乗せられたら怒るよね……。こっちを見上げてきたトウカは、童顔も相まって普通の女の子みたいだったとだけ伝えておく。何も嬉しくないトウカの、身長差ゆえの上目遣い……と言っていいのか良く分からないけど……を正面から受けたククールはなんかよろめいていた。
トウカは下に鎖帷子とか着込んでるし、大剣背負ってるからそうは見えないけど結構軽装だからかな……目、疲れてるかもしれない。ただ、前髪の角度のせいでトウカの顔は半分以上隠れていて、そりゃどっちの性別ともとれるよって感じだ。
微妙な顔をしながら取り敢えず髪飾りを返したトウカを尻目に、引き攣った顔でライトシールドをククールに買っておいた。君が倒れたらパーティが終わるからだと切に訴えておいて。……実はライトシールドは結構高いんだ。お金はまぁ、あるけどそう使いまくっていいものじゃないし……。
・・・・
ちゃらり、ちゃらりと小さな音が僕の前方で一定のリズムを刻んでいる。トウカの鎖帷子の擦れる音だ。コツコツと鳴り続けているのはククールの足音。
「……カジノは閉まってるみたいだし、こっちに行って意味あるの?」
「情報は聞き出すだけじゃないよ。自分で得るものさ。この先に人間の気配がする。足音を殺して、静かに行こうか」
小さな小さな金属音までは消せなかったみたいで、舌打ちでもしそうな顔で
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