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剣士さんとドラクエ[
59話 航海3
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…そんなデンジャラスなことがあったんだね……なんか、ペアを決めた責任を感じるから次からはトウカとのペアは僕、かな……トウカの素振りなら薄皮一枚の距離でやられようと、実際には切られないことを熟知しているから怖くないし。慣れって素晴らしいよね。

「あんたたちっ!魔物来るわよ、何喋ってるの!」
「ごめんっ!」
「今行くっ!」
「おう!」

 操舵する場所で何話し込んでるんだってことだよね。本当に申し訳ない……。走って甲板に降りていくククールと、ひとっとびで甲板にジャンプ……というかダイブしたトウカが着いたぐらいから、魔物がまたわらわらと船に這い上がり、僕達に襲いかかってきた。最早慣れたように背後の魔物をベギラマで燃やし尽くし、剣気を飛ばしてこっちの魔物を切り刻んでくれるトウカに甘えながら僕は舵をぐっと握りしめた。

・・・・
・・・
・・


 おお……大地だ。懐かしき、大地が見える!ずっと船の上で揺られながら過ごしていたら、しっかりとした地面が少し恋しくなっても仕方ないよね。感動しながら自分で干して炙った魚を噛み切り、咀嚼していたら、みんなに微笑ましいものでも見たかのような生暖かい目で見られた。陛下と姫様にまでだ。流石に要件があるわけでもなく、お声をかけられてもいないから、干魚を食べるのは辞めてなかったんだけど。……やっぱり見苦しいかな?

「……それ、美味しい?」
「何言ってんの、エルトも美味しいって言ってたじゃないか」
「最初はね……でも同じ魚を何十匹も並べられて、十何匹も食べてたら、……飽きない?」
「飽きないね。だって、マナーもへったくれもない食べ方をしても怒られないし」
「……マナーもへったくれもないっていうのは、手刀で魚の頭叩き落として海に放って魚呼んで、釣りしながら食べてるってこと?」
「うん」

 でも、もう着くから釣りはやめないとね。即席で作った割になかなか役に立ってくれた釣り竿を船の中に仕舞って、最後一欠片を飲み込んだら、それを見ていたククールがぼそっと言ってきた。

「……猫みたいだな」
「猫みたいにボクは可愛らしくないよ」
「……、……ネコ科の動物みたいだな」
「うん、それが正しい」

 どっちかっていうと、私は猫ちゃんじゃなくて無慈悲な虎とかのほうが似てるんじゃないかな。狩りするしね。

 とうとう、船板が大地とご対面した。どんな魔物が出るかわからないから、私が一番乗りでいいよね?え、本当にいいの?やった。

 片手に大剣を構えながら、トンっと柔らかな土の上に降り立った。じんわりと感じる生命の息吹。潮風に混じる土と緑の香り。心底安心するしっかとした大地。見渡すかぎりの、大地だ。とうとう、私達は新たな大陸へ到着した。
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