58話 島国2
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「そうか……」
答えたら余計にがっくりしてるけど、知らされないよりはいいんじゃないかな?海の魔物と戯れるのは新鮮で楽しいのにな。それに暇さえあれば釣りできるよね。ずっと陸の物ばっかり食べてきたから美味しくて好きだな。もちろん、魔物じゃない魚だよ。エルトとかククールとかに止められるから魔物は食べれないし……スライムのゼリーはいつか食べるつもりだけど。止めてくれるな。
「大海原で戦うのもいいもんだね」
「そうでがすね。トウカの兄貴、水でがす」
「そう言ってくれるのはヤンガスぐらいだよ……ありがとう。じゃあアモールの水あげ……」
「ホイミ!でがす」
「……遠慮しなくていいのに」
なにさ……みんなしてアモールの水を、むしろ渡してきて……。
「トウカは怪我することも多いから自分で持っておくべきなんだよ」
「なんのための前衛と後衛?」
「悪いな……だが回復しきれねえのは事実だ」
……まぁ、私は魔法が使えないからその対応もわかるけど。ゼシカはほぼ常にククールの隣にいるから私程回復が間に合わないということはないだろう、ね。前衛で一人魔法を浴びたら瀕死になるし……まあ、後ろに人がいない限り大体よけれるんだけど。
「そうか」
まぁ、納得したんだけど、なんか嫌だなぁ。魔法が使えないから、回復を道具に頼るしかないから、一番攻撃を受けるから、魔法で受けるダメージが一番大きいから。納得できる理由は沢山あるけど、それって私が弱いからだ。魔法が使えないのは……自分でどうにかできるものでもないけど、それでも……なんだかね。
「……悪いように解釈してるみたいだから言うけどさ、トウカ」
「ん?」
「船の上だからいまいち分からないかもしれないけど、普段の旅でトウカが単騎突撃して魔物の数を減らしてくれなきゃ、僕達はとっくに全滅していたと思うよ」
「それは……ないと思うけど」
「トウカに何かあったら冗談抜きで全滅だよね、みんな?」
「ああ、死ねるな」
「あの数の魔物に囲まれたらあたしも無理ね」
「あの数は……無理でがすよ」
……フォローに走ってるのはなんでさ?別に傷ついてなんかなかったし、私が魔法が使えないのは今更で、捌ききれないのも……私が弱いからだって。捌ききれないということは、捌ききれるようになれるということで、もっと強くなれるということ。伸びしろがまだあるという事じゃないか。
「ああ、分かったから。アモールの水だろうが薬草だろうが使いきれない程常備してるから安心してよ。みんなを魔物みたいな奴らに殺させはしないし……勝者はいつもボクさ。潰すのもね」
安心づけるように笑えば、何故だか後ずさられた。なんでさ。
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