51話 盗難
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寝ぼけ眼で何時までもパンをもぐもぐと食べているエルトとヤンガスの前に汲みたての水を置き、既に準備の終わっているゼシカとククールにも採りたての果物を渡す。朝からひとっ走り、アスカンタ城の周りを修行がてら回ってきたお土産ね。沢山魔物を倒したし、朝の空気が美味しかったからスカッとしたね。……魔物を倒すのがストレス発散気味になっているのは人格が破綻してそうなことだけど。
野生の果物をリスか猿みたいに探しながら駆けずり回るのって結構楽しいよ。森に入ればマイナスイオン浴び放題だし。朝露のついた草を掻き分けて走り抜けるのも頭がしゃきっとするし。……足元がびしょびしょになって気持ち悪くなるのが玉に瑕だけど。
「……どこ行ってたの?」
「外かな」
「……ああ、そう。それは城壁の外って意味なのよね?」
「勿論さ。……実は一人だと大体の魔物から逃げ切れるからそんなに心配そうにしなくてもいいよ」
普段は主にククールにすごく回復魔法をかけてもらっていなきゃ死んでるけど、本来私は単独行動ばっかりとってたし、一人だけでなら幾らでも外で動ける。勿論普段ほど魔物を狩れるわけじゃないけど。五分の一ぐらいの数しか無理だね。
「足速いものね」
「ありがとう。……エルト、何時までそのパン噛んでるんだよ」
「……、……?おはよう?」
「駄目だこれ」
完全に寝ぼけてるね。そんなに寝起き悪かったっけ、エルトって?……確かに仮眠をとっても寝癖を直してこないし、顔を引き締めるまでに時間がかかってたけど。まあ、いいや。朝一番から謁見に行くのもどうかと思うし。朝は朝でももう一時間後ぐらいでいいよね。
……後でそんなにのんびりしていたことを後悔するのだけど。昔の人はよく言ったもんだよ、後悔先に立たずってね。
・・・・
アスカンタ国王パヴァン王は、僕達に快く月影のハープをくれようとしてくれた。そこまでは良かったんだ。大したことをしたわけでもないのに国宝を譲ってくれるなんてとてもあり得ないことなんだから……。でも。
「どうしてこうなったの……?」
「……宝物庫をぶち抜いて宝を奪っていく強盗に聞いてよ!絶対にぶちのめしてやる!」
「その根性だけは大したもんでがすよ……」
元山賊のヤンガスから見てもそうだろうね。固いレンガも、土も掘り起こして大穴を開け、宝を奪うなんて……例え宝物庫の位置が正確に分かっていたとしても普通はやりたくないでしょ……。労力がかかりすぎるだろうし、危険性が高過ぎるんだから。なのに……何でそんな馬鹿げたことを実行して、成功しちゃうかなあ……!
おかげでこっちはハープを取り返さないといけないなんて!姫はこっち側を通れなかったから陛下と一緒にお待ちいただかなきゃいけないし……。
「……面
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