暁 〜小説投稿サイト〜
剣士さんとドラクエ[
46話 山小屋
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 朝一番、エルトの唱えたルーラによって、あたしたちは今まで経験した事もない長い距離を飛んだわ。こんなに長い距離を旅したなんて……。それでもルーラは限りなく短時間にあたしたちを運んだ。降り立った地の空気はパルミドより暖かく、懐かしい匂いを含んでいた。

「はい、邪魔!」

 少しふらふらとするほど風を浴びたというのに、変わらず元気なトウカの声。ああ、また魔物を一掃しに走るのかしらと思っていたら、聞こえて来たのは激しい爆発音。例えるなら、あたしのイオラのような……いいえ、ようなじゃなくてそのまま、イオラの。

 彼は魔法が使えない。なのに、爆発?

「なんでそんな雑魚に爆弾岩の欠片を使うかな!」
「数が多いからさ!ほら、見てよ!剣士像の洞窟なんてメじゃない程の数だ!さっきので全滅したけど!」

 疑問はすぐに解けた。空中で爆発したのはトウカが魔法を使ったのでも何でも無く、魔物の欠片を放ったからだった。中級攻撃魔法イオラと同じぐらいの威力を放つ、爆弾岩の欠片を。なるほどね、それなら一瞬でトウカも弱い魔物を片付けられるわね。

 ……声は元気が良かったけど、トウカが悲しそうな顔をしていたのは、気のせいかしら。やっぱり、彼は魔法を使えないことを気にしているのよね。

「さあさあ行くぞ!目指すは荒野!岩塩の産地だ!」
「うわ、魔物がトウカを見て逃げてる……」
「余計な戦闘は要らないからそれでいいのさ」

 あら、意外。誰が見ても戦いが好きなのが分かるトウカなのに。彼は確かに無益な殺生を好むタイプではないのだけどね。

「先は長いんだから飛ばすなよ……」
「おう!」

 まだ何もしていないっていうのに、ククールはもう疲れたようだった。……一昨日のベホイミとベホマのオンパレードは、堪えたようね。丸一日、アスカンタまで戻って休息を取ったのに……まあ、分からないでもないのよ?ヤンガスの話ではずっとベッドに倒れ込んでいたというし。

 ギラリと輝く剣を……ヤンガスの話では半日は磨いていたという……抜き放ったトウカは意気揚々と先頭を歩いていった。時折聞こえる爆発音は爆弾岩の欠片かしら。……ねえ、あたしの出番は?

「トウカが槍を持った時の気持ちが分かるでしょ……」
「そうね。でも、あんなに使って大丈夫なのかしら?」
「ああ、それは大丈夫。自分で使いもしない魔法の聖水をあんなに蓄えていたんだから、使う可能性のある物ならもっと持ってるよ……いや、トウカの父君に持たされている、と言うべきかな?」
「……そうなの」

 現れる魔物は、最初は弱かったのだけど……進んでいくに連れてどんどん強くなっていき、パルミド周辺と変わりない強さにまでなっていく。……なんでここまで魔物の強さが変わるのかしらね。数だけは減ったのが幸い……かしら
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ