46話 山小屋
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ね。強い魔物ばかりになったときにはもうトウカは前の方で単騎突撃していたわ。
「……ベホイミ」
「お疲れ様」
「サンキュ。一昨日よりはましだから問題ない」
確かに、広さがあるここなら避けやすいわよね、比較的だけど。結構離れているここからでも跳んだり急進したりしたりして躱したり倒したりしているのがよく見えるわ。あんなに動いて体力は大丈夫なのかしらと考えていたのがもう昔のように感じるわ。
「向こうの方に山小屋があったよ!」
「そう、報告ありがとう」
「ん!じゃあまた行ってくる!」
あら、ほんとだわ。確かに丘のてっぺんに山小屋があるわね。休憩できたりするのかしら?……と言っても、まだまだ遠くて、小さく見えているだけなのだけど。着いた頃には昼になってそうね……。
・・・・
なかなかいい眺望だね。ここからなら荒野が一望できる。さてさて、情報屋さんが言っていた船ってどこにあるんだろう。
「おや、旅の方ですかな?」
「はい。あなた方は商人ですよね?」
「勿論ですとも。ここらの岩塩は良いものですからな」
うん、知ってる。様々なことを幼い時から教えられてきたけど、例外なく教えられたからね。トロデーン城に近いここならなおさら、詳しく詳しく教えられてきた。地域の風土や名産品についてね。貴族として恥じないように。
それをおくびにも出さずに相槌を打ち、やんわりと会話を打ち切らせてもらう。悪いけど、今は会話するよりもさっさと船を探さないとね。
「あれかな?」
「あっちじゃないの?」
「こっちのやつだろ」
意見が割れてるみたいだけど、明らかに形が違う、質感が岩じゃないのは一つしかないでしょ……。隻眼だから視界は狭いから、物に気付かなかったりはするけど、視力は悪くないんだからな!あれだけ勉強したのに悪くならなくて心底良かったと思ってる。
「行ってみようよ」
「そうでがすね」
荒野に向かって柵を乗り越え、飛び降りようとしたら、全力で皆に引き止められた。右手をエルトに、左手をククールに、背中をヤンガスに、柵と私の間に滑り込んで止めたのはゼシカ。
……全力だね。三人ぐらい簡単に振り切れるけど、ゼシカが止めた時点で止まったんだけどな。そこまで飛び越えて欲しくないなら口で言って欲しいんだけど。
「トウカ」
「……歩いて行くよ」
「陛下や姫様はさっきの降り方で行けたと思うの?」
「そっちじゃねぇよ!」
「そうじゃないわよ!」
確かに、軽率な行動だった。陛下や姫様にご迷惑を掛けてしまう所だった。もっと慎ましく大人しく、冷静に状況判断できる義父上や義母上みたいな人間にならないといけないな。これ、来年の抱負にしようかな……来年なら私は当主に……なってるはず、だから。どう
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