46話 山小屋
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朝一番、エルトの唱えたルーラによって、あたしたちは今まで経験した事もない長い距離を飛んだわ。こんなに長い距離を旅したなんて……。それでもルーラは限りなく短時間にあたしたちを運んだ。降り立った地の空気はパルミドより暖かく、懐かしい匂いを含んでいた。
「はい、邪魔!」
少しふらふらとするほど風を浴びたというのに、変わらず元気なトウカの声。ああ、また魔物を一掃しに走るのかしらと思っていたら、聞こえて来たのは激しい爆発音。例えるなら、あたしのイオラのような……いいえ、ようなじゃなくてそのまま、イオラの。
彼は魔法が使えない。なのに、爆発?
「なんでそんな雑魚に爆弾岩の欠片を使うかな!」
「数が多いからさ!ほら、見てよ!剣士像の洞窟なんてメじゃない程の数だ!さっきので全滅したけど!」
疑問はすぐに解けた。空中で爆発したのはトウカが魔法を使ったのでも何でも無く、魔物の欠片を放ったからだった。中級攻撃魔法イオラと同じぐらいの威力を放つ、爆弾岩の欠片を。なるほどね、それなら一瞬でトウカも弱い魔物を片付けられるわね。
……声は元気が良かったけど、トウカが悲しそうな顔をしていたのは、気のせいかしら。やっぱり、彼は魔法を使えないことを気にしているのよね。
「さあさあ行くぞ!目指すは荒野!岩塩の産地だ!」
「うわ、魔物がトウカを見て逃げてる……」
「余計な戦闘は要らないからそれでいいのさ」
あら、意外。誰が見ても戦いが好きなのが分かるトウカなのに。彼は確かに無益な殺生を好むタイプではないのだけどね。
「先は長いんだから飛ばすなよ……」
「おう!」
まだ何もしていないっていうのに、ククールはもう疲れたようだった。……一昨日のベホイミとベホマのオンパレードは、堪えたようね。丸一日、アスカンタまで戻って休息を取ったのに……まあ、分からないでもないのよ?ヤンガスの話ではずっとベッドに倒れ込んでいたというし。
ギラリと輝く剣を……ヤンガスの話では半日は磨いていたという……抜き放ったトウカは意気揚々と先頭を歩いていった。時折聞こえる爆発音は爆弾岩の欠片かしら。……ねえ、あたしの出番は?
「トウカが槍を持った時の気持ちが分かるでしょ……」
「そうね。でも、あんなに使って大丈夫なのかしら?」
「ああ、それは大丈夫。自分で使いもしない魔法の聖水をあんなに蓄えていたんだから、使う可能性のある物ならもっと持ってるよ……いや、トウカの父君に持たされている、と言うべきかな?」
「……そうなの」
現れる魔物は、最初は弱かったのだけど……進んでいくに連れてどんどん強くなっていき、パルミド周辺と変わりない強さにまでなっていく。……なんでここまで魔物の強さが変わるのかしらね。数だけは減ったのが幸い……かしら
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