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剣士さんとドラクエ[
45話 情報
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動じゃないのか?間違っても殺さんばかりに憎んでいる相手にするもんじゃねぇ……こともねぇな。壁にヒビがいくぐらい強いな。あんなもん、受けたかねえよ。

 ……エルトが笑顔でこっちを見ていきた。見張っておけ?分かった分かった。さっさと行ってこいよ。

 ヤンガスがキントを路地裏に引きずっていった。街行く人はそれを見ても眉一つ動かさないことから、日常茶飯事なんだと思わせる。ま、怒り狂ったリーダーさんに従って見張りはちゃんとするがね。

 ぶわっと路地裏から熱い風が吹く。一緒に感じられるのは強烈なゼシカの魔力。肉が焦げる匂いは特にない。壁にでも当てたんだな……脅しには十分すぎるだろうが。続いて、くぐもった悲鳴。激しく殴りつけたような音がする。これはヤンガスとエルトか。

「見張りありがとう、ククール」
「おい、トウカはどうした」
「嫌だなあ、そんな野暮なことを聞かないでくれよ」
「……あいつ、どうなるんだ?」
「死ぬかもね」

 そんなにさらっと言うことか?殺人は……それはいかんだろうよ?ま、それよりえげつない事をしていた教会にいた俺が言えることでもないかもしれないがな。拷問のほうが個人的にはえげつないと思っているからな……しかし、魔物は確かに猟奇的に殺すトウカだが、お貴族様の彼がそんなことが出来るのか?……なりかねないが。

 ……鋭く巨大なあの大剣で今、あいつを見て怪しく笑っているのだろうか。

「おまたせ」
「……うん、じゃあ、行こう」

 本当にすぐに帰ってきたトウカは別に平素と変わらぬ様子だった。どこにも血痕すら付いていなかっただけではなく、剣は先程と同じく鞘に収められていた。

 ……すれ違った時にした強烈な血の香りにはツッコまないほうがいいんだろうな……。やったのか、やはり。細切れか、首を取ったのかは知らないが。知りたくもないな。にしても俺はなんで、トウカがあいつにだけあの恐怖を煽る笑みを向けたのかと思うといらいらするのか。

・・・・

「おや、ヤンガスくんじゃありませんか」
「情報屋、いきなりで悪いんだが、今すぐ船が必要なんだ。なにか良い手はないか?」
「船、ですか?あのゲルダさんでも手に入れるのに苦労したのですよ?いや、少し待ってくださいね」

 さっきはちょっと怒りに任せて剣を振るってしまった。ああ、私の剣が汚された。もとより師匠なんていないし、軽く型を教わった以外は全部我流なんだから……怒る人もいなさそうだけど、やっぱり嫌なもんは嫌だ。

 殺したくてたまらなかった奴を殺せて、スカったとしたなんて、絶対に皆には言えない。私はとうとう、いや、今更だけど、狂った化け物になっちゃったのかな……。私は、楽しんで人を殺す者を人間だと呼びたくない。だから、私も人間じゃない。いくらアイツが悪
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