第百四話
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ラギの長身から、どうしても見上げる形となってしまうが――返答する。そこからスメラギの思案は一瞬。
「……よし。私とウンディーネ数名で水中を探って……」
「……ううん。悠長にやってる暇はないみたいだよ」
スメラギの導きだした妥当な案に、ユウキの剣を構える音が返答となる。……それもその筈だ。パーティーメンバーの前に姿を表した水の蛇が、大量に現れて俺たちのいる浮き島を包囲していたのだから。
「……どうやら、そうらしいな。よし、各自水中用の魔法を発動し、突入する!」
……悠長に作戦会議をしている場合ではない、と判断したスメラギの指示とともに、四方八方から水の蛇が俺たちに襲いかかる。今まで出来るだけ固まっていた俺たちは、即座に水の蛇を避けて散らばっていき、それぞれが浮き島の端――ひいては水中を目指して走っていく。
四方八方からとは言ったものの、こちらにも四方八方に仲間がいる。それは、正面だけに集中して構わない、ということと同義でもあった。
「そこ!」
しかして簡単に水中に行かせてくれる訳もなく、大量の水の蛇が俺たちの行く手を阻む。単純なダメージは通用せず、切り裂いても即座に復活する水の蛇に、日本刀という武器の性質上相性が悪かったが――その根元から切り裂けば。
「ええーい!」
隣でリズがメイスで水の蛇の顔を殴り潰している最中、俺は日本刀《銀ノ月》の柄に付いたスイッチを押すと、日本刀の刃が銃弾のように撃ちだされる。発射された刃は水中から出ていた水の蛇の胴体を切り裂き、蛇の大多数を水へと戻し沈黙させる。
「……思った通り」
「そんなん近接職で出来んのあんただけでしょう、がっ!」
メンバーが剣という切り裂く武器が多数の中、水の蛇を粉砕できる武器を持ったリズが奮戦する最中、こちらへのツッコミも忘れない。余裕じゃないか――などと思いながら、俺は刃が生えてきた日本刀《銀ノ月》にアタッチメントを装着する。
「せやっ!」
とはいえ剣持ちのプレイヤーも、ただやられている訳ではなく。今しがたユウキがやっていたように、旋風を伴ったソードスキルならば水の蛇を吹き飛ばせる――と、俺も日本刀《銀ノ月》に風属性を付与するアタッチメントを装着し、無限に顔を出す水の蛇を斬り裂いていく。シャムロックのメイジ隊が俺を助けたように、《疾風》による吹き飛ばしは水に対しても有効だった。
「みんな、準備出来たよ!」
――しかし、このまま水の蛇と戦っていても、やはりキリはないようで。各自が水中に飛び込める場所に近づいた瞬間、アスナたち魔法使い組からの補助魔法が放たれる。それはウンディーネ以外のメンバーも水中を移動出来るようになる魔法であり、その補助魔法の完成とともにメンバーは水中へと飛び込んでいく。
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