第百四話
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と同義であり。
「――来るぞ!」
実質的なパーティーリーダーであるスメラギの号令の下、メンバーはそれぞれの武具を構える。どこから現れるか分からない以上、テッチを初めとするタンクのプレイヤーは全方位に広がり、魔法職のメンバーは中央に固まっていた。知らない相手だろうと、自然と理にかなった陣形を取れるプレイヤーたちに戦慄していると、ちょうど俺の目の前にソレは現れた。
『Water Jormungandr』
……解読に多少の時間を要したものの、名前の通りの水で形作られた蛇型の――神話に現れる、ヨルムンガンドと呼ばれるモンスターだった。……ただしその名前には、アインクラッドのフロアボスとして必要なものが欠けており、何かのトリックが用意されてみて間違いないだろう。そんな獲物を前に舌なめずりする蛇に対し、即座にメイジ隊による雷魔法の絨毯爆撃が放たれた。
水を主とする相手だと予測して準備されていたその魔法は、寸分違わず水の蛇へ炸裂していき、どれほどの火力か分からないほどの雷撃が炸裂する――が、水の蛇は何らダメージを負っている様子はなく。ただ水に電流が流れているように帯電しているのみで、水の蛇は今度はこちらの番だとばかりに襲いかかってきた。
「頼む!」
スメラギの指示がなくとも、最も近かった重装備のプレイヤーが大盾を構え、こちらに首を伸ばす水の蛇を待ち構える。プレイヤーを丸呑みにしようとした水の蛇を、何らかのソードスキルで弾いてみせた隙をつき、俺は水の蛇の首を縦に両断してみせる。
「これは……」
切り裂かれた竜の首はただの水となり、俺たちがいる浮き島の大地を濡らすのみとなる。そして水の蛇の胴体の先端が、再び蛇の顔を形作り、近くにいた俺を飲み込もうと――
「ショウキ! 避けなさい!」
――リズの声に反射的に飛び退くと、新たに作り出された水の蛇はそれを追ってきたものの、疾風を叩きつける魔法に吹き飛ばされる。……シャムロックのメイジ隊の魔法だ。切り裂いてもダメージを与えても無駄なら吹き飛ばしてしまえ、という発想は正解だったらしく、水の蛇はただの水となって吹き飛んでいく。
「おかげで助かった!」
「これは……ボスは海の中なんじゃないか」
メイジ隊にお礼を言いながら重装備のプレイヤーの背後に戻ると、キリトがメンバーに聞こえる程度の声で呟いた。ダメージを与えられない水の蛇を、水の中で操っていると考えれば理屈は通っているが……その仮説を信じるか信じないかは、リーダーたるスメラギへと委ねられる。
「名前は……何と言ったか」
「キリトだ」
スメラギは抜き身の刀のような鋭さを持った視線でキリトを射抜いたが、キリトもその程度で萎縮するような人間ではない。しっかりと目を見つめて――スメ
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