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SAO−銀ノ月−
第百四話
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扉がすぐそばに見えてきた。フロアボスの扉の前で待っていれば、強力なモンスターが現れる――などと懐かしい仕様があるため、パーティーは少し早歩きになって扉を開けていく。

「ねぇキリト。どんな奴だったか覚えてたり……なーんて、覚えてるわけ」

「確か蛇型のモンスターだったな。耐久力にダメージを与える酸吐いてくる奴で、すばしっこくて苦労した。……だったよな、アスナ」

「うん。他には巻き付いたりしてくるのがキツかったかなー」

「……そ、そう」

 リズがまさか覚えてるわけないわよねー、的な冗談で話しかけてきていたつもりが、キリトにアスナ夫妻ともどもペラペラと話しだす。そんな様子に、当時はまだ攻略に携わっていなかった俺も、リズともども引きつつ扉の中に入っていく。

 ……アインクラッドのボス戦では、一部の例外を除いて偵察に偵察を重ね、かつ情報屋が情報を集めきってからが勝負だった。何せ倒せなかったらそれで終わり――次のチャンスなどないのだから。

 だがこちらの世界では違う……ようで同じだった。一応は攻略組全てが一丸だったSAOとは違い、このゲームは大小様々なグループが凌ぎを削っている。偵察に偵察を重ねて……などと悠長に構えていれば、確実に他のグループにボスは討伐されてしまうだろう。

 《シャムロック》ほどの勢力の強さと数があれば、他のグループを通さないようにしつつ、偵察に偵察を重ねて攻略出来そうなところではあるが。それはかくいうリーダーであるセブン自ら、『絶対にそんなマナー違反なことはしないように』、と厳しくお達しが出ているらしい。

 VR研究家と言われれば、あの茅場と須郷が最初に脳裏に浮かぶ俺にとって、セブン――七色はまるで似ても似つかなかった。アイドルのように派手で大胆に、しかして折衝は起きないよう繊細に。彼女がどうしてこの世界に来たのか、それはまだ聞いていなかったが――話した限りでは、彼女は底抜けに善人だった。

「……橋?」

 疑心暗鬼になりすぎか――と自嘲しながら、リズの声で俺は目を覚ます。扉を開けるとそこには一本の橋と、橋の向こうには広い浮き島が広がっており、辺りは海のような水が広がっていた。底を見通すことも出来ず、かなり水は深そうだ。

「……やっぱり、変わってるな」

 当時を知るキリトが呟いたとおりに。アインクラッドをALOにリメイクするにあたって、運営は大幅なリメイクを施したらしく。当時のSAOとはまるで違う敵も多く――特に、ボス格はかなりの改造が施されていた。パーティーは不思議そうな表情を隠さぬまま、橋を渡って浮き島へと向かっていく。

 ――すると、辺り一面に広がる水が、まるで沸騰したように泡を立てていく。ダンジョンの壁に紫色の炎が灯り、あの頃と変わらないその灯火は、ボス出現の証
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