第百四話
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くとパーティーの枠が埋まっていたので、他のメンバーには悪いが丁重にお断りした。
……このフロアボス戦に参加する理由がある――正確には、次の層を一刻も早く解放したい、という二人がいたからだ。
「この層をクリアしたら22層か……」
「うん。私たちの家、一番に買いに行こうね」
「はい! 私も精一杯サポートします!」
かつてあの浮遊城で暮らしていた22層――それが遂に解放されると聞いて、桐ヶ谷家……もとい、キリトにアスナ、そしてユイは目に見えて気合いが込められていた。そんなメンバーの様子を観察しながら仕事をこなしていると、どうやら全て終わっていたらしい。
「終わったぁ!」
隣でリズもほぼ同時に仕事を終わらせており、それぞれ回復させた自身の武具を、お礼とともにプレイヤーが持って帰っていく。何かトラブルがないように一応見張っていると、一人のプレイヤーが近づいてきていた。
「よぉショウキ! 何だか懐かしい雰囲気じゃねぇか!」
騒々しい声をした刀を帯びるサラマンダー――クラインが自身のギルド《風林火山》のメンバーとともに、迷宮区に集まったプレイヤーたちを眺めていた。……あの頃のアインクラッド攻略と同じ、という意味だろう。
「……俺はもう見たくもなかった」
「そうツレないこと言うなってよー。おうユウキにルクス、お互い頑張ろうなー」
「ヤッホー、クライン! ここにいるってことは、シャムロックに入ったの?」
酒場の酔っ払いのように絡んでくるクラインを鬱陶しげに払いながら、そのままユウキにルクスの方にパスしていく。……かと思えば、二人ごとこちらに引っ張ってきていた。仕事中だというのに。
「んにゃ。確かにオレはセブンちゃんのファンだがよ。《シャムロック》に入る気はないねー、何となく。……ルクスもそうだろ?」
「そうだね。どうもギルドは苦手で」
細かい違いは分からないが、セブンのファンだからといって《シャムロック》に入っている訳ではないらしく。その証拠に誰もクラスタの証たる、七色の髪飾りをつけてはいなかった――コレクターズアイテムとして、持ってはいるらしいが。
「でもま、同好の士ってことでシャムロックの連中に誘われてよ。オレ様の名を刻みにいくかって寸法よ」
「名前?」
「フロアボスを倒したパーティーは、第一層に名前が刻めるんだ」
不思議そうな表情をしているユウキの疑問に答えながら、コンパクト鍛冶セットを片付け、出張版リズベット武具店を閉店していく。第一層《はじまりの町》にある黒鉄宮――かつては、百万人の囚われたプレイヤーの名が刻まれていた場所は、今や妖精たちが名前を刻まれるのを望む、そんな場所になっていた。……相変わらずここの運営には、ブラックジョー
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