暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
機動戦艦ナデシコ
1304話
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世界にやってきた時に図書館で調べた限りでは、火星から撤退して防衛線を後退していなければ今よりも地球の被害は増えていただろう。
 下手をすれば既に地球は木星蜥蜴に占領されていた……という可能性すら皆無ではない。
 だが……

「そうね。確かにあそこで火星を見捨てたからこそ、地球はまだ戦えているのかもしれない。でも、見捨てた方はそれでいいかもしれないけど、見捨てられた方はそれで済むと思う?」
「それは……」

 言葉に詰まるジュン。
 まぁ、イネスの言っている事は理解出来る。
 特に今まで生き残った火星の生き残りは連合軍や連合政府に対して……それどころか、地球にいる全ての者に対して不信感を抱いていてもおかしくはない。
 寧ろ当然と言えるだろう。

「ですが、このまま火星に残っていてもいずれどうにもならなくなるのでは? ユートピアコロニーの件を考えると、向こうも本格的に偵察行為を行うでしょうし」
「そうでしょうね。ナデシコが来たから余計にね」

 プロスペクターに対して当て付けのように告げるイネス。
 このままだと平行線だな。
 そう判断し、イネスに向かって口を開く。

「それで、お前達は結局何を望むんだ? 地球に向かうのも嫌、火星に残ったままだといずれ死ぬ。……もう考えようがないんだが?」

 実はあるんだけどな。地球にいかず、火星で殺される事もない方法が。
 ゲートを設置して、ホワイトスターに迎え入れるという手段が。
 ただ、そう簡単に決断出来る事でもないのは事実。
 シャドウミラーに迎え入れるというのも、ちょっと悩みどころだ。

「そうね、どうしたいのかしらね」

 イネスの言葉に、火星の生き残り達も自分達がどうしたいのかというのははっきりと分かっていないんだろうと理解する。

「じゃあ、一旦ネルガルの研究所に行きませんか? 向こうにはシェルターもあるって話ですし、ここにいるよりは何をするにしてもいいと思いますけど」

 結局先送りだというのは理解していながらも、艦長のその言葉が採用されてナデシコはオリンポス山にあるネルガルの研究所へと向かうのだった。
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