6部分:第六章
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「違うか?」
「そうですけれどこんな場所でカイザージョー使ったら」
小田切君が気にしているのはそのことだった。
「ベルサイユ宮殿が」
「ああ、そんなものはどうでもよい」
カイザージョーはベルサイユ宮殿のバックにいるのだ。壮麗かつ巨大な宮殿の真後ろに白銀のロボットがいる姿は実にシュールなものであった。
「宮殿の一つや二つはのう」
「けれどベルサイユ宮殿っていったら」
小田切君は顔を顰めさせて博士にまた言う。
「二百年の歳月をかけてそのうえでやっと完成したんですよ。人手も費用もかなりかかってあれこれ手を入れて建築していった代物ですけれど」
「ふむ。それでトイレがなかったんじゃな」
博士はこのベルサイユ宮殿におけるあまりにも有名な話を指摘した。
「設計者は何を見落としていたんじゃろうな」
「それで宮殿の端とかお庭はそれこそ排泄物まみれだったんですよね」
「そうじゃ。汚物の消毒じゃ」
殆ど何処かの世紀末漫画のモヒカンの台詞であった。
「あの宮殿を全部焼くかそれか絶対零度で凍らせて消毒するかじゃな」
「それって結局宮殿全壊じゃないですか」
「ふむ、そういえばそうか」
言われてまたしてもやっと気付いたような顔を見せる。
「まあそれもよい」
「よくないですよ。そんなことしたら」
二人が話しているその間に馬に引かれた大砲が幾つもやって来た。そうしてそれぞれ配備されそのうえでいよいよ撃たれようとしていた。
「撃ち方はじめ!」
「あの悪魔を倒せ!」
「陛下を御護りしろ!」
「その陛下がもうちょっとしたらギロチンじゃな」
相変わらず博士は実に落ち着いている。
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