40話 女盗賊
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ーナスの涙とかいう宝石を持ってこい、だって?在り処は剣士像の洞窟?ああ、あそこね……腕試しに一回行ってみたかったんだよね……。
まあ、いいや。持ってきたら考えるって言われたのが結構気に食わないけど……。
「貴女自体は単に店で馬と馬車を買っただけ……うん。なら……いいか」
「……やっと殺気を収めたね」
「よく考えればキントの野郎以外誰も悪くない……納得はしないけれど」
にしても、戦闘的には弱いかもしれないけど、精神的にはとっても強い人だ。我ながら隠すつもりもない殺気を振りまいていたのに……慌てる様子もなく、冷や汗もかかず、平常心を保っていたんだから。
・・・・
「姫様は安全でした。迅速にビーナスの涙を入手、交渉します」
「うむ」
軽い走りこみのような小走りで「剣士像の洞窟」へ向かって進む。陛下は問題なく着いてこられている。
ようやくいつも通りに戻ったトウカに安心しながら、トウカが戻ってしまった故にまた襲い掛かってくる魔物を突き伏せていく。「錬金釜」で作ったホーリーランスの威力たるや凄まじい。鉄の槍の比じゃないや……。
報告だけしたトウカが、颯爽といつもの大剣片手に魔物をバターを切るかのように真っ二つにしていく。跳んで体液を躱し、回転斬りをしながら前へ前へ。何時見てもアクロバティックかつ臨場感抜群だね……。
状況が状況だからか無表情のまま、全部無言でやっているのが怖い。それが普通のはずだけど、トウカの「普通」は満面の笑みで笑い声をあげて戦うもんだから、逆に違和感しかない。何時もみたいに必要以上に細切れにしたりすることもなく、急所を的確に切り裂いて居るって感じだ。
まあ、何時もと同じで、無表情でも冷静じゃないみたいで怪我を気にしてないんだけどね!冷静なときは全部躱せるくせに何でこんなにも違うんだよ……!その代わり、防御を捨てただけあっていつもよりさらに強いけどさ!
「ベホイミ!」
「ホイミでがす!」
「……ベホイミ」
しばしゼシカ以外は回復魔法を口ずさみながら戦う羽目になるぐらいだった。それでもアモールの水を自分で使っていたけど、そこに気が回るなら是非とも攻撃を躱して戦って欲しいんだけど……。
そして、見えてきた剣士像の洞窟……の入り口は砂地にあって、その近くにある毒の沼地が実に見た目通り毒々しく……そして陰気な……なんて言えばいいのかな。それなのに太陽は変わらず明るかった。そろそろ日が傾いてきたけど……。
にしても今日はなんて濃い日なんだよ……!
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