40話 女盗賊
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「実力行使と交渉ではどちらがよろしいですか?」
「交渉じゃ。姫に何かがあっては元も子もないのじゃぞ!」
「はっ。愚問でございました」
そうだった。姫がどんな状態なのか分からない今、下手なことをして傷つけれたり、命を奪われてしまうなんてことはあってはならない。慎重にならないと……。
でも、さっきから抑えようとしても湧き上がる感情が止まらない。必死になっていないと、今すぐにでも駆け出しそうだ。そして、この剣で敵となりそうな人物たちの命を奪うだろう。キントの野郎も、……あいつは後で、陛下の見ていないところで殺すかもしれないけれど。見かけたら……確実に。
私の倫理観が狂ってしまっているのはとうの昔に理解している。何回か言ってるし。価値観も、考え方だって全然前世の「遠藤桃華」とは違うだろうね。
でも、流石に人をわざわざ殺したいなんて、思ってたわけがない。それは忌むべき事だ、やってはならない最大の禁忌だ。とはいえ、今世の私は殺人を犯したことはある。でも全て全て、命を狙われて攻撃された上での仕返し。単なる相手の暗器をキャッチ・アンド・リリースした結果、相手が勝手に返り討ちにあって死んだだけ。
分かっては、いる。こんなにも人を殺したいなんて思うのが、異常だってことぐらいは。いくら姫を攫った人間でも、奴に刑が下って、そして私が死刑執行人でもない限り殺せやしないだろう。でも私には力があるから、殺しに行こうと思ったら出来る訳で……。それも容易に……。
今こうして衝動を抑えられるのも、単に姫の安全のほうが優先事項なだけ。だからきっと、姫の安全を確保して、馬車も取り返したら……取り敢えずキントの闇討ちぐらいはしてもいいかなって思ってる。狂ってるとも分かってる。きっと、何時も戦っている時とは違って、楽しくはないと思いたい。こんなことで喜びを感じるほど……トチ狂ってしまった覚えはないよ……。
「……、」
「ゲルダ!」
そうこうしているうちに、いつの間にか私達は室内に来ていた。考え事をしていたせいで、全く周りが見えていなかった……危ないな。気をつけないとな……。
さて。話の流れ的に、この釣り目の女性がゲルダってことでいいのかな?知り合いのヤンガスが呼んでるぐらいだから間違いないよね?
うん……身のこなしは軽いけど、いざ戦ったら簡単に勝てそうな人だな。なるほど、肉弾戦よりも隠密に特化したまさに盗賊タイプの戦闘スタイル、ね……。揺り椅子を揺らしてるだけだけど、筋肉の付き方を見れば大体分かるね。私みたいに着込んでいるわけでもないし……この人何気なく露出過多だし。そんな装備で大丈夫かな?これなら止められる間もなく首を……って何を考えているんだ、私は。
……想定通り、交渉は破綻……というか、ビ
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