第175話 荊州の新たな主 前編
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孫堅は思わず顔を上げ正宗の顔を見上げた。正宗が孫堅に都合する将軍位は雑号将軍ではあるが孫堅にとっては安くはない。そして、将軍位があればまとまった軍を合法的に運用できる。
正宗は孫堅の問いに頷いた。
「車騎将軍、孫文台は身命を賭し豫州刺使のお役目はたさせていただきます」
孫堅は武官から身を立てた人物である。その者にとって将軍位は格別なものなのだろう。彼女は感動している様子だった。
「お前にはこれからも励んでもらわなければならない。頼むぞ」
孫堅は正宗に拱手した。
「私が豫州刺使になれば車騎将軍のお役に立てるのでしょうか?」
孫堅は艶然として正宗のことを見ていた。
「私は朝廷の重臣として中原の安寧を望んでいる。司隷州に隣接する豫州の安定は皇帝陛下の治世の安定に寄与することであろう」
正宗は孫堅に当たり障りのない発言をした。それに孫堅は意味深な笑みを浮かべていた。
「車騎将軍の信任を得られるように頑張りたいと思います」
孫堅は正宗に拱手をし力強く答えた。
「頼んだぞ。話は変わるが。孫文台、身体の調子は完全に戻っていないようだな」
正宗は徐に言った。
「手足に痺れが少々残っております」
「そうか」
「指揮に支障はございません!」
孫堅は正宗に慌てて返事した。彼女は正宗が孫堅に将軍職を与えることを考え直すと思ったのかもしれない。
「身体を見せてみよ」
「えっ!?」
正宗の言葉に孫堅は頬を染め恥ずかしそうにしていた。
「母上、正宗様は傷を見てくださると言っているんです」
蓮華は態とらしい咳払いを一回して孫堅に声をかけた。孫堅は蓮華の言葉に一瞬呆けたていた。
「蓮華、お前に言われずとも分かっている!」
孫堅は声高に蓮華に言った。
「車騎将軍、私のような者の傷を見ていただけること感謝いたします」
「ついでだ。気にするな。治療しやすいように寝所に横になれ」
正宗は孫堅に言うと、孫堅は蓮華に肩を貸り寝所に移動した。蓮華は孫堅を治療しやすいように正宗のために椅子を用意した。
正宗は椅子に腰をかけると孫堅の身体を見ていた。
「気の流れの悪い箇所が大夫あるな。あの治療だけでは完治は無理だったということだな。どこまで治せるか分からないが出来る限りのことはさせてもらう」
「正宗様、ありがとうございます」
蓮華は正宗に心底感謝している様子だった。正宗は孫堅の右脚に手をあて瞑目した。正宗から神々しい輝きが発せられた。
その後、正宗は移動しながら孫堅の左右の腕や左脚を治療していった。その間、孫堅は正宗のことを熱っぽい眼で見ていた。それを傍目から見る蓮華は頭が痛そうに溜息をついていた。正宗は孫堅
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