第175話 荊州の新たな主 前編
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互に見ていた。
「お願いします」
劉gは正宗に頭を下げた。正宗は劉gの了解を得ると彼女に近寄った。
「劉g殿、失礼するぞ」
正宗は劉gに声をかけると彼女の胸の中心に手を当て瞑目した。その直後、正宗の身体を神々しい光が身を包んだ。その光は徐々に劉gに伝わり彼女の身体中を包んだ。
劉gも医者も眼の前の出来事に驚いている様子だった。
三刻(四十五分)が過ぎた頃、劉gの病的な白い肌に血色が戻ってきた。劉gも自らの身体の変化に気付いたのか困惑した様子だった。
医者に至っては正宗の放つ光をただただ呆然と見つめていた。
その後、しばらくして正宗は目をゆっくりと開いた。彼は劉gを見た。
「劉g殿、身体の調子は如何かな」
「私は?」
劉gは困惑していているのか状況を把握出来ずにいるようだった。
「医師殿、治療は終わった。劉g殿の病状をもう一度診てもらえるか?」
「かしこまりました!」
医者は呆然としていたが正宗に声を掛けられたことに気付くと慌てて返事をした。
「ない!? これはどういうことだ!? 肌の色も!?」
医者は慌てふためいた様子で劉gの診察を行いながら「ありえない」を何度も口にし独り言を言っていた。その様子に劉gも病が治ったことを自覚しだしたのか感極まった様子だった。劉gは瞳に涙をためた顔で正宗のことを見た。
「これは夢でしょうか?」
「夢ではない。現実だ」
正宗は劉gに対して強く頷いた。
この後、劉gは美羽の屋敷に逗留することになった。
劉gの治療を終えた正宗は孫堅軍の本陣に泉と少数の供回りを連れて訪問した。正宗は直ぐに孫堅のいる天幕に案内された。そこには簡易の寝所があったが孫堅は起き上がっていた。彼女は両膝を折り平伏して正宗を出迎えた。孫堅の側には蓮華もいた。
「蓮華、母の看病か?」
正宗は蓮華の存在に気がつくと声をかけた。
「はい」
蓮華は正宗に拱手して返事した。正宗は蓮華から視線を天幕の隅に視線を一度向ける。
「車騎将軍、何か」
声をかけたのは孫堅だった。孫堅は視線を上げ正宗を見ていた。彼女が正宗に向ける視線に艶っぽいものが混じっていた。正宗は気付かない素振りをし咳払いをした。
「いいや。何もない」
正宗は視線を孫堅に向けた。
「孫文台、身体の調子はどうだ?」
「はっ! お陰様で命を取り留めることができました。車騎将軍には感謝のあまり、言葉がございません」
孫堅は底心低頭で正宗に礼を述べた。だが、身体の調子が未だ悪いのか身体の動きにぎこちなさを感じさせた。その様子を正宗は見過ごさず何か思うところがあるのか一瞬考える仕草をしていた。
「無理をするな。身体を休
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