38話 盗人
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るかも」
トウカが脅しちゃった分、僕は少しでもこの人を落ち着かせて、正しいことを知らないと。にっこりとした笑顔を作り、背中の、錬金したばかりの真新しいホーリーランスに手を添えた。
「……エルト、やっていることがトウカと一緒だぞ……」
聞こえた声は無視して、僕は冷静にそいつを問いただした。
「酔いどれキントだって。そいつ殺そうね」
「トウカは黙ってて……そうすべき時はそうすべき時。今は早く姫様をお助けしないと……。ヤンガス、何度も悪いんだけど、そいつの居場所分かる?」
「大体は」
「頼むね」
先頭を駆けるヤンガスを追って、僕達はその元凶のもとに向かう。途中、道を塞いでゴールドを要求する男が居たけど、トウカが僕が何かを言う前に首筋に手刀を叩き込んで気絶させていたから邪魔にもならなかった。道の真中で寝転ばれてても邪魔になるから、わざわざ端に寄せてくれた。
瞳孔がカッ開いている、としか表現しようのない怒りに満ちたトウカと、多分傍目には無表情だろうけど、気を抜いたら怒りが外に漏れだしそうなほど腹の底から沸き出る怒りを無理やり押さえつける僕。そのキントをボコボコにする気満々のヤンガスとゼシカ。蹴りの一発ぐらいは何も言わなくてもやってくれそうなククール。
このメンバーで、怒鳴り込めばすぐに姫様は返ってくる。そう思っていたのだけど、僕の考えはどうにもこうにも、甘かったのだ。
僕の半歩ほど前をゆくトウカの足元からビシリビシリと石畳の砕ける音がリズミカルに聞こえていた。途中から怒りが更に増したのが、ザクリザクリと完全に足を突き刺していたようなのには流石に閉口したけども。
・・・・
「……、殺さないけど、どんな結果でも半殺しにはする」
「やってしまって良いぞ」
「有難き幸せでございます。しかし、私の不注意が元なので……どうか、全てが済んだ後に私に罰をお与え下さい」
「そんなことをいう暇があったら、早う行かんか!」
キントの家と分かったぼろぼろの家の扉を、音を立てないように配慮して開ける。そっと足音を消して六人で進み、姫を売った金を数える男の背後に回る。ヤンガスがキントに詰め寄り、情報を吐かせた。トウカが最初、やろうと名乗り上げていたけど、……見くびられても面倒だし、それでトウカがキレたら余計に面倒なことになりそうだったから却下した結果だった。
「……ふうん」
「その1000ゴールドは渡す!許してくれ!」
「闇商人、だって?」
「そうだ!」
「ヤンガス、知り合いだよね?」
「勿論でがす。交渉すれば大丈夫でがすよ」
ひとつふたつと頷いたトウカは、手袋も手甲も外して素手になった。そして、早口でまくし立てながら傍目から見ても軽いパンチを繰り出していった。
「お
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