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剣士さんとドラクエ[
37話 破落戸
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「いや、そんなことで嫌わないけどさ……?」
「トウカ?どうしたの?」

 トウカは何故か妙に怯えた。べつに泣いているとか、震えているとかじゃなくて目が希望を何もかも失っているような……。怖がっている?また?あのトウカが?流石のトウカも無傷ではすまないような、大量の魔物に囲まれて、兵士の仲間がバタバタと倒れるような場面でも、トロデーンがいばらに包まれて途方に暮れた時でも……ここまで怯えたっけ……?ここまで、泣きそうだったっけ?

 ……勿論、僕はトウカを泣かせようとか、困らせてやろうとか思ったんじゃない。

「嫌うわけないから。ただあんまり暴走しないでっていうだけで」
「……分かった」

 それから、トウカが隊列を乱したことはない。むしろ怪我を負おうと意識が遠のこうと意地でもついてきて、逆に困ったぐらいだった。単騎突撃はしていたけれど、あっという間に僕らの隣に帰ってきていた。

 何故、この時ここまでトウカが怯えたのか。泣きそうなまでの「嫌わないで」の言葉の意味。

 八歳未満のトウカを知らない僕が、それよりも付き合いの浅いヤンガスやゼシカやククールが真実を知るのはずっとずっと後だった。

 「嫌わないで」、「ごめんなさい」。これは僕達に言いたかったものでなかったことを、後で知る。

・・・・

 かなり遠い距離を移動して、埃っぽい町に着いた。

 ならず者たちが集まる無法地帯と名高い……ゴミ溜めのような所、それがヤンガスの故郷パルミド。間違ってもお貴族様のトウカや、エリートのエルト、お嬢様のゼシカや一応王族らしいトロデ王や馬姫様が来たことがなさそうなところだ。

 俺も……まぁ、一応由緒正しいと言われている、クソみたいな聖堂騎士団員である故に来たことはない。ヤンガスのみが勝手を知る危ない場所だ。……早速ゼシカの側に何気なく寄ってレディを守ろうとしたが、さっさとエルトの方へ行ってしまった。

 一人で居るのも身の危険を感じた俺は、安全な方へ行く。物珍しげにキョロキョロしているトウカの方だ。一番安全には違いない。だが、反面見ていて危なっかしいガキ、という印象があるからだ。見た目だけは、この中でもかなり幼く弱そうに見えるからだ。

 あんな頼りないやつでも、十八歳の野郎でとんでもなく腕は立つが……スリだの追い剥ぎだのする奴に本当の腕っ節なぞ分からないだろうからな……。面倒事は厄介だ。「うっかり」トウカが何かをしかねない……と、少し「前科」がある故に、思うのだ。そんな奴ではない……とは思う。だが、その考えを簡単に吹き飛ばすほど奴は強い。

「おお、おお!」
「楽しそうだな」
「そう、ボクは今、最高に楽しい!警戒をこんなにしつつもキョロキョロしたいこの状況は本当に面白いし、楽しい!」
「……考え
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