33話 伝説
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さっさと槍を拾い上げてからぶんぶんと片手で回してみせる。後ずさりは止まったけど、ククールの顔色は面白いぐらい真っ青から真っ白に変わっていく。こういうの面白いよね。
悪乗りしてる自覚はあるけど面白いから止めない。可哀想?これからもっともっと精神的にダメージを受けるからリハーサルだよ。ヒトゴロシは何があろうと辛いものなんだから。
「……なんでこいつを女だと思ったんだ」
「何か言った?」
「お前がすごいって言ったんだ……」
「あ、逃げないでくれるんだ、ありがとう」
ちょっとうっかり怖がらせ過ぎて嫌われたり逃げられたりしちゃうかも、って思ったけど……。ちょっと安心した。にしてもククールって私にも聞こえないようなぼそぼそした声でたまに喋るね?
面白いからバトンみたいに回してもみた。あ、地面抉れた。
「あ、エルト」
「何してるの……」
「大道芸かな」
「……それ、動かずの槍でしょ?」
「やだなぁ、それは使えない人の言い分じゃないか。エルトは持てるだろ?」
キラさんの実家から出てきたエルトの第一声。うん、これが何か分かってるエルトはちょっと暗い顔するね。何人も持てずに諦めていた姿を思い出したの?エルトのチャレンジでは充分持ち上がってたのに。
「……そうだね。なんとか持ち上げて落とすことが出来るというか……」
「……怪力の近衛兵だらけのトロデーン兵ってなんだ……」
「最強の兵団じゃないかな。そうボクは思ってるよ」
「大体トウカの存在での」
「ありがたき幸せっ!」
陛下がお褒め下さった。すごく嬉しい。これはモノトリア家で語り継ぐべきだ。私で末代じゃなかったらだけど……。
手袋に槍をしまってからエルトやゼシカに行き先を聞く。なんでも、この近くにある川沿いに歩いて行くと「願いの丘」と呼ばれる場所があって、その頂上に満月の時に行ったら願いが叶うとか言われたらしい。ってことは当初の目的通り、「願いの丘」へ行けばいいんだね?不思議なことが起こるとか言われたらワクワクしちゃうね。
願いの丘に進み出してからククールと、あとゼシカに手を調べられたのは余談。頼まれて手袋を外してみたら、あんまり私の手はゼシカと変わりなかった。……そりゃ、こんななりでも女だからなぁ。そんなに骨ばったり大きかったりするわけないよね。そうなって欲しかったんだけど……。
・・・・
トウカがとんでもない力持ちで強い奴であることは、最早再認識に過ぎない。彼が強い兵士であり、剣士なのだから、槍が使えてもなんら不自然ではない。トウカは男だから、俺が良いところを見せても意味がないのは分かっている。と言うか俺のいいところは魔法以外すべてトウカの方が上だろうよ……。
で、少し話は変わるのだが、俺は自分でもトウカやヤ
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