33話 伝説
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ンガスに力で負けているのは分かっている。あの二人に勝てるわけがないのも、勝てなくとも恥にはならないのも、だ。だが、俺より背も低く、童顔でトウカに振り回され気味のリーダー、エルトに負けているかと聞かれれば微妙だ。
確かに彼は強いし、戦闘センスも魔法もリーダーシップもあるのも知ってるが、単純な力で負けるはずがないと思っている。…………さっきまでは思っていた。流石に、エルトになら、と調子に乗っていた。彼はトウカと同じトロデーン近衛兵だった。トロデーンの兵士は多分、皆化け物クラスの猛者なんだろう。
トウカの話を鵜呑み見するなら、エルトはあのトウカの重槍を持ち上げることも、ヤンガスの体重を腕の力だけで支えることも出来る。対して、俺は……そんなこと出来るはずがない。というか、出来るような男は普通、筋肉質の荒くれ者ぐらいだろう。普通は、だ。あいつら普通じゃない。
ということは。俺はパーティメンバーの中で力が一番弱い男になるわけだ。……ゼシカを口説く度、どこか哀れみの目で見られているのはもしかして、同情なのだろうか。
・・・・
願いの丘、なんて言ってるけど向かってる感じでは単に山登りでもしているみたいだ。間違っても丘をハイキングといったものではないね。途中、丘の中を洞窟を通ったりしたし、……さいころみたいな変な強いモンスターもいるし……結構険しい道のりだ。あいつの攻撃でトウカが大出血したのは恐ろしかった。……すかさず放たれたククールのホイミの速度はとんでもなかったけど。……癒やしきれてなかったから僕も加勢したぐらい酷かったから、ナイスだったと思う。
魔物は夜明けだからか、少し減ってきたけど……。あれ、そういえば。夜明けなんだけど。繰り返すけど……。
「願いの丘の頂上で満月が登った時に何かが起こるって聞いたんだけど」
「待てばいいじゃない、昼寝でもしながら」
「……そうだね、徹夜だったしね」
まあ、そうだ。野宿でもすればいいだろうね。でも、えっと……。それでも危なくない?
「聖水撒いて、トヘロスの魔石を置けば簡易結界だよ。破れる奴はドルマゲスぐらい?彼人間だけど」
「……陛下、どうしましょう」
「トウカの好きにさせればいいじゃろ」
陛下はトウカの事を信用なさってるから、そうしよう……考えるのめんどくさくなってきた……。
確かにトウカの策に失策らしい失策はないんだけど、トウカ以外が実践出来ないものがある事には注意しないと痛い目見るのは……。考えないでいよう……。ああ、胃が痛い。目の前でサイコロみたいな例のアイツを半笑いで切り刻んで「サイコロステーキ!」とか叫んでるトウカとか見えてないって。
「登るにつれて、だんだん魔力が高まっていくわね。悪いものじゃないけど」
「そう?……あ」
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