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剣士さんとドラクエ[
32話 喪
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じゃ考えられないほど穏やかにしていたことが多かったし、……人は自由を知ると堕落するね。やりたい放題になるね。

「よし、行こう」

 宣言したエルトに続いて足を踏み入れ、淀んだ空気に沈んだ雰囲気をぷんぷん匂わせたアスカンタに入っていった。

 ……道行く人々は、暗い表情しか浮かべていない。外で遊ぶ子供すら、いなかった。

 言わせてもらうとすれば、王家仕事しろ。それから貴族も仕事しろ!

・・・・

 亡くした人を悼むあまりこうまで国を巻き込むなんて。国王としては褒められないこと。愚王として名前が残っても可笑しくないよね、ま、こんな状態で国が存続するのか謎だけど。

 またパヴァン王を呆れてから、さっきキラさんというメイドに言われたことを思い返す。昨日泊まった教会のそばの民家に行っておとぎ話を聞いてこないといけない。正直眉唾だけど、……魔物も魔法も存在し、髪の毛や目の色が変わったりする経験もしたからなぁ……はっきりと嘘だ、信じられないとは言えない。しかも陛下はのり気でいらっしゃるし……。もう夜なんだけどなぁ。今から行くのか……。

「……気が滅入る所だったわね」
「どこもかしこも真っ黒でがした」
「そんなに王妃様を愛してるんだったら……なおのことちゃんとすべきだと言いたかったな……」
「……愛って言うのは想像以上に複雑なモンだぜ、エルト。時に人をおかしくする」

 城下町を出て、歩き出してすぐに堰を切ったように喋り出すみんな。……ククールの声が若干震えてたのは何でだろう。自分の言うことを信じてないみたいだった。なら言わなきゃいいのになーー。まだククールとみんな、勿論私とも壁があってちょっと悲しい。ククールって、俺はこういう時、こう言うべきだとキャラクターをさも演じてるみたいでさ。どうもエルトみたいに接せない。ちょっと茶化すぐらいかな……。

「あのおとぎ話が真実に基づいていたらいいな」
「どうだか」
「ククールは魔法が使えるのにそういうことは信じないの?」
「俺は生まれてからずっとこの大陸に住んでいるが聞いたことがないんでな」
「ふぅん?」

 まぁ、それはそれで自分の記憶に基づいて考えているから妥当、かな。エルトもなんか腑に落ちない顔をしてキラさんの話を聞いていたし……。まぁ、私はなんかあるとは思っているけどね。

 エルトがルーラで教会まで飛ぼうと提案して、皆が頷いた途端、夜空へ舞い上がる。冷たい風が一瞬、ほっぺたを刺し、暗転する景色。数秒後には色の戻った世界があるわけだけどこのルーラの感覚は何度経験しても不思議で胸が高鳴る。キメラの翼にしろ、ルーラにしろ、舞い上がる感覚が私に不思議な作用をもたらすみたいだ。

 降り立ってすぐに辺り一面にはびこっている魔物を斬り捨てに走る私を尻目に他
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