31話 教会
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でいる内に、ほとんど朝になってしまった。途中で鍛錬していたとか言っていたトウカが帰ってきたりして、話が逸れたのもあるかもしれないが。……彼は常に俺の予想の斜め上を行く。普通、あれだけの移動距離の日にそんな事するか?一番戦っていたというのに……。
教会の中に入り、自分のベッドに入る前にそっと出来心で彼のベッドを覗いてみればさっきよりも柔らかそうな服を着た華奢な少年が、昼間猛威を振るった剣を抱えて寝ていた。……間違っても女には見えない。剣を抱えてすうすうと寝てしまう行動が、だが。 顔は……‥寝ていると余計少女だ。詐欺だ。
これで、中身も性別も俺が守ってやるような少女だったら……今頃口説いているはずだ。旅に出るほど強くとも、女には変わらない。だが、最早彼を女だと思い込んで心の慰めにすることすら無理があった。あの言動、あの力では無理がある。……早く諦めたいんだがな。うじうじ考え通しだな……。
トウカが身じろぎしたのでさっさと視線を外し、俺も寝ることにした。寝るとは言ってもほとんど時間はないはずだが、無いよりはましなはず。
にしても、髪の毛も長い、肌も白い、身長も低め、声は中性的で顔は童顔……。今まで何人が勘違いし、何人が玉砕したのだろうか。
・・・・
「清々しい朝!早起きの魔物がぴょんぴょこ飛び出してきて、ボクに狩って欲しがってる!」
「それは違うんじゃないかしら」
「ふっははははっ!」
「……聞いてない上に戦いに行っちゃったわ……」
「昔からだいたいあんなんだから気にしないでよ。こっちが戦闘にならないようにしてくれてるんだから」
朝からトウカは元気だ。あくび混じりの僕とはえらい違い。目覚まし代わりに僕も最前線に飛び出してトウカと共闘、しようかな。……近くにいないと陛下や姫様を守れなくなるから駄目か。
「……」
「おはようククール」
「……あぁ」
「今トウカが軽く怪我したの分かる?」
「……分からなかったな」
「ホイミ!えっと、気づいたらやってくれないかな、回復。僕もやるけど、後衛で周りを見れるようになってほしい。ククールは何時もパーティでは戦ってないでしょ?」
テンション上がり過ぎて多分、本人も怪我に気付かなかったとは思うけど放置してたらそれは命取りになるし。 ハイになっているトウカほど怪我に無頓着な人間はそう、いないよ。
トウカの持っているアモールの水も無限じゃないし、放っておいて日頃から無茶な戦い方に慣れられたら困る。それでトウカに何かあったら、親友としてもパーティリーダーとしても同僚としてもトウカのご両親に申し訳がたたない。もちろん僕自身もトウカを亡くすなんて考えたくもない。
「……分かった」
「お願い。僕も見てたいんだけど、たまに見逃してると思うから」
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